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ファテープル・シークリー(Fatehpur Sikri) |
ファテープル・シークリーは、インド北部ウッタル・プラデーシュ州に位置するムガル帝国の幻の都で、16世紀に皇帝アクバルによって築かれた短命ながらも壮麗な都市遺跡です。
ムガル建築の傑作が多数残り、イスラム、ヒンドゥー、ジャイナ教の建築様式が融合したユニークな都市計画が評価され、**1986年にユネスコ世界遺産(文化遺産)**に登録されました。
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ジャーマー・マスジド(Jama Masjid) |
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建設開始:1571年、ムガル帝国第3代皇帝**アクバル大帝(Akbar the Great)**によって着工。
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目的:無事に男子を授かったことを祈願したスーフィー聖者サリーム・チシュティーの導きを記念して、彼の住んでいた地に新都を建設。
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1571〜1585年:15年ほど首都として使用されたが、水不足や戦略上の問題から首都はアグラに戻され、都市は放棄された。
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現在は「幻の都(Ghost City)」として保存されている。
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ブラン・ダルワーザ(Buland Darwaza) |
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ジャーマー・マスジド(Jama Masjid)
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ファテープル・シークリー最大のモスクで、インド・イスラム建築の傑作。
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白大理石の装飾やドーム、幾何学模様が印象的。
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ブラン・ダルワーザ(Buland Darwaza)
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「勝利の門」とも呼ばれ、高さ約54mの巨大な門。
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アクバルのグジャラート遠征の勝利を記念して建てられた。
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サリーム・チシュティー廟(Tomb of Salim Chishti)
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アクバルが信仰したスーフィー聖者の墓所。
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白大理石で精緻に作られ、祈願成就の場として今も信仰を集めている。
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パンチ・マハル(Panch Mahal)
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五層構造の風通しの良い建物で、王妃たちの憩いの場とされる。
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柱のみで構成された独特の建築美。
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ディーワーネ・アーム(Diwan-i-Aam)とディーワーネ・カース(Diwan-i-Khas)
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一般謁見所と親謁見所。**八角形の玉座を持つ「神殿のような建物」**は政治と宗教の融合を象徴する空間。
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サリーム・チシュティー廟(Tomb of Salim Chishti) |
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赤砂岩を多用した重厚な造りと繊細な装飾。
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イスラム、ヒンドゥー、ジャイナ建築要素の融合:アクバル帝の宗教的寛容を反映。
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碁盤目状の都市計画や、水の使い方にも高度な工夫が見られる。
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パンチ・マハル(Panch Mahal) |
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短期間ながらも完成度の高いイスラム建築都市の例
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多宗教共存の精神が表現された建築美
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ムガル建築の発展過程を示す貴重な遺構群
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ディーワーネ・アーム(Diwan-i-Aam) |
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所在地:インド・ウッタル・プラデーシュ州、アグラから西へ約40km
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アクセス:アグラから車で約1時間、鉄道・バスも利用可
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入場にはチケットが必要。日中は観光客が多く、朝の訪問が比較的静かでおすすめ。
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ディーワーネ・カース(Diwan-i-Khas) |
ファテープル・シークリーは、わずか15年しか存在しなかったにもかかわらず、ムガル帝国の栄光とアクバル帝の理想主義を今に伝える、壮麗かつ思想的にも深い歴史都市遺跡です。
インド建築と宗教観の融合、そして国を導いた信仰の証がここにあり、まさに**“石の中に語られる王の夢”**とも言える世界遺産です。
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