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カセレス旧市街(Old Town of Cáceres) |
**カセレス(Cáceres)は、スペイン西部エストレマドゥーラ州に位置する中世の都市で、ローマ時代からイスラム支配、レコンキスタ、そしてルネサンスに至るまでの多様な歴史を色濃く残す都市遺産です。
その歴史的な町並みはほとんど改変されることなく保存されており、「石のタイムカプセル」**とも称されるほど。
**1986年にユネスコ世界遺産(文化遺産)**として登録されました。
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サンタ・マリア大聖堂 |
歴史的背景
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紀元前25年頃:ローマ帝国が都市「ノリウム・ケーサリス(Norba Caesarina)」を建設。
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8世紀〜13世紀:イスラム勢力の支配下で発展。
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1229年:レコンキスタ(キリスト教勢力の再征服)により、アラブ支配が終わる。
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その後、キリスト教貴族たちが支配し、中世からルネサンスの豪壮な建築が次々と建設された。
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ブハコ塔(Torre de Bujaco) |
特徴と見どころ
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城壁に囲まれた旧市街
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アラブ時代の城壁がほぼ完全に残るヨーロッパでも稀な都市。
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石畳の細い路地や、高い石造りの塔と邸宅が中世の雰囲気を保っている。
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イスラム・ユダヤ・キリスト教の共存
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旧市街には**ユダヤ人街(Judería)**の名残もあり、宗教文化の交差点だったことがうかがえる。
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**ムデハル様式(イスラム美術を取り入れたキリスト教建築)**も多く見られる。
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主な建築物
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サンタ・マリア大聖堂:13〜15世紀にかけて建てられたロマネスク・ゴシック様式の大聖堂。
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ブハコ塔(Torre de Bujaco):アラブ時代の塔で、城塞の象徴。
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カサス・ソラノとゴルディージョの館など、ルネサンス期の貴族邸宅も多数現存。
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アルコ・デ・ラ・エストレージャ(Estrellaの門):旧市街への主要入口。
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現代との対比
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城壁の外には現代都市が広がるが、旧市街は徹底した歴史保存区域となっており、電線や看板すら制限されているほど。
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アルコ・デ・ラ・エストレージャ(Estrellaの門) |
世界遺産としての価値
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ローマ・イスラム・ゴシック・ルネサンスの建築様式が一体化した都市空間
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中世ヨーロッパにおける文化・宗教・交易の重要拠点
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都市遺産としての保存状態が極めて良好で、時代の変遷が層として読み取れる

アクセスと観光
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所在地:スペイン・エストレマドゥーラ州 カセレス県
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最寄りの大都市:マドリードから電車やバスで約3〜4時間
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旧市街は徒歩での観光に最適。夜間ライトアップされた石造建築も幻想的でおすすめ。
まとめ
カセレスは、ヨーロッパにおける複数の文明と時代が重層的に共存した「生きた歴史都市」です。
その石造りの美しい街並みは、まるで中世にタイムスリップしたかのような感覚を味わえる場所であり、スペインの隠れた宝とも言える世界遺産です。
映画やドラマのロケ地としても人気が高く、静かで深い歴史の息吹に触れたい人におすすめの場所です。
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