2025年4月28日月曜日

絵で見る「世界遺産」:紫禁城(The Forbidden City)ー 中国

紫禁城(The Forbidden City)

**紫禁城(The Forbidden City)**は、**中国・北京市の中心にある明・清時代(15世紀~20世紀初頭)の皇帝の宮殿(皇城)**であり、現存する世界最大級・最も保存状態の良い古代宮殿建築群です。

約500年間、中国皇帝の政治・儀式・生活の中心だったこの壮麗な空間は、**1987年にユネスコ世界遺産(文化遺産)**に登録されました。


外朝(Outer Court)

歴史的背景

  • 建設開始:1406年(明の永楽帝の命により着工)

  • 完成:1420年

  • 使用期間:明朝・清朝を通じて約500年間、24人の皇帝が居住。

  • 1912年:清朝滅亡により皇帝の宮殿としての役目を終える。

  • 現在は**故宮博物院(Palace Museum)**として、世界的な文化財を展示・公開。


内廷(Inner Court)

名称について

  • 「紫」は天の中心である北極星(紫微星)にちなんだ神聖な象徴

  • 「禁」は外部の者が無断で立ち入ることを禁じられていたことを意味する。

  • 「城」は城壁に囲まれた壮大な宮殿都市を示す。
     つまり**「天に最も近い、禁断の皇帝都市」**という意味を持つ。


太和殿(Hall of Supreme Harmony)

規模と構成
  • 敷地面積:約72万平方メートル(東京ドーム約15個分)

  • 建物数:約980棟(元は約9,000室以上)

  • 構造:南北軸に沿った左右対称の配置

  • 主なエリア:

    • 外朝(Outer Court):政治・儀式を行う空間(太和殿など)

    • 内廷(Inner Court):皇帝と家族の日常生活の場(乾清宮、坤寧宮など)


中和殿・保和殿(Halls of Central and Preserving Harmony)

主な見どころ
  1. 太和殿(Hall of Supreme Harmony)

    • 皇帝の即位式や重要な式典が行われた、紫禁城最大の木造建築

  2. 中和殿・保和殿(Halls of Central and Preserving Harmony)

    • 式典準備や宴会が行われた建物。太和殿とセットで見学するのが基本。

  3. 乾清宮(Palace of Heavenly Purity)

    • 皇帝の私的な居住空間。

  4. 九龍壁(Nine Dragon Screen)

    • 色鮮やかな9頭の龍が描かれた陶製の壁。

  5. 皇極殿・御花園(Imperial Garden)

    • 皇族たちが憩った美しい庭園エリア。


乾清宮(Palace of Heavenly Purity)

建築と文化の特徴
  • **中国伝統の宮殿建築(木造・瓦屋根・赤壁・金色装飾)**の集大成。

  • 陰陽五行思想天命思想に基づく色彩・方位・設計。

  • 技術の粋を極めた建築工法と細部の美術工芸(龍や鳳凰の装飾など)が施されている。


九龍壁(Nine Dragon Screen)

世界遺産としての価値
  • 古代中国建築の最高傑作であり、保存状態が非常に良好

  • 500年以上にわたる中国王朝文化と政治の中心地

  • 権力、儀礼、文化、宗教が融合した壮大な宮殿都市の象徴


皇極殿・御花園(Imperial Garden)

現在の状況と観光
  • 故宮博物院として公開され、年間1,000万人以上が訪問

  • 世界有数の美術館でもあり、中国の書画、陶磁器、工芸品、宝物など約180万点以上の収蔵品を誇る。

  • 敷地が非常に広大なため、一日で全てを見学するのは難しい。見どころを絞って回るのが一般的。


午門(Meridian Gate)

アクセス

  • 所在地:中国・北京市中心部

  • 最寄り駅:地下鉄1号線「天安門東駅」または「天安門西駅」

  • 入口は午門(Meridian Gate)から、出口は神武門(Gate of Divine Might)


  • 神武門(Gate of Divine Might)

まとめ

紫禁城は、中国の王朝文化、建築技術、儀礼体系の粋を結集した壮大な世界遺産です。
重厚な城壁の内側には、歴代皇帝たちが築き上げた「小さな宇宙」が広がり、訪れる人に悠久の歴史と文化の重みを強く感じさせます。
まさに、**世界文明史に輝く“皇帝の都市”**です。


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