台湾3日目。ついに南へ大移動！……と言いたいところだけど、実際はめっちゃサクサク。「台北駅（Taipei Main Station）」から新幹線に乗り込んだ瞬間、「よし、高雄までの大冒険スタート！」なんてワクワクしてたのに——気づけば2時間弱。体感15分。なんなら「隣町まで牛乳買いに行ってくるね〜」くらいのノリで、台湾の第2の都市・高雄にワープ完了。
2時間の電車旅。その相棒に選ばれたのは、出発前に駅でゲットした「排骨飯」。席に座った瞬間から、もはや旅というより“排骨飯とのデート”。車窓の景色が流れるたびに、「高雄までの道のり＝前菜」「排骨飯＝本命」みたいな気分になってくる。電車の中でのんびりごはんを頬張っていると、「あれ？観光ってもう始まってない？」なんて錯覚すらしてくる。結論——移動中に食べるごはん、意外と主役級に悪くない。むしろ最高。
高雄の「左營駅」に到着すると、そこにはなんと40年以上会っていなかった従兄が迎えに来てくれていた。とはいえ、正直なところ顔の記憶はまったくなく、「この人、本当に従兄？それとも知らない親切な方？」と内心ドキドキ。それでも再会の空気を装いながら挨拶を済ませ、従兄の家へ向かうことに。ところが着いてみて驚いた。そこはまさかの高雄の高級マンション。エントランスのキラキラ具合に「いつの間にセレブになったんだ…？」と頭の中が追いつかない。40年ぶりの再会よりも、マンションの豪華さに心を持っていかれた瞬間だった。
今晩予約しているディナーまで少し時間があったため、従姉に連れられて足裏マッサージへ行くことになった。実は足裏マッサージは今回が人生初。少し緊張しながら椅子に座ったものの、施術が始まった途端、その指先はまるで昨日の“4万歩”の疲労地点を正確に見抜いているかのように押し当ててくる。痛いような気持ちいいような、不思議な感覚に翻弄されながらも、最終的には思わず脱力してしまうほどの心地よさ。初体験だったはずが、「足裏マッサージってすごい……」と素直に感心してしまうほどだった。疲れきった体が救われた、小さな奇跡のような時間だった。
河堤泡脚會館脚底按摩辛亥店
No. 117, Xinhai Rd, Zuoying District, Kaohsiung City, Taiwan 813
No. 117, Xinhai Rd, Zuoying District, Kaohsiung City, Taiwan 813
そして迎えたディナーは、高雄でも予約が取りにくいと噂される人気店「享鴨 高雄裕誠店」へ向かった。店名からして北京ダックへの期待は高まっていたが、ひと口食べた瞬間、その期待は見事に的中。パリッとした皮とジューシーな肉に、「さすが看板料理だ」と納得せざるを得なかった。ところが、本当に驚かされたのはその後だ。次々と運ばれてくる料理がどれも手抜きなしのハイレベルで、まるで“主役級”が勢ぞろいしているような状態。気づけば北京ダックだけでなく、ほかの料理にも感心しっぱなしで、終始満足感に浸るディナーとなった。高雄の食の実力を思い知らされる食事だった。
享鴨 高雄裕誠店
813, Taiwan, Kaohsiung City, Zuoying District, Yucheng Rd, 448號2樓
後から知って驚いたのだが、「享鴨 高雄裕誠店」はGoogleレビューで2万件を超えており、星はなんと4.9という驚異の数字だった。ほぼ満点ともいえる評価に、「あの人気ぶりも納得だ」と思わずうなずいてしまう。実際に体験した満足度を思い返すと、このレーティングは評価というより“ほぼ表彰”に近い存在だと感じるほどだった。
従兄妹たちとの楽しいディナーを終え、この日の宿として選んだのは「城市商旅 高雄駁二館」だった。実はこの日、高雄ではBlack Pinkのコンサートが開催されており、街中のホテルはどこも混雑状態。空室を探した結果、残っていたのは少し価格帯の高いホテルだけだった。ただ、“高め”といっても宿泊費はおよそ75ドルほどで、思ったよりも手頃。結果的に、コンサートとはまったく関係がないにもかかわらず、その特需に押される形で予定外に少しランクアップしたホテルに泊まることになった。
City Suites Kaohsiung Pier 2
城市商旅 高雄駁二館
No. 83號, Gongyuan 2nd Rd, Yancheng District, Kaohsiung City, Taiwan 803
ホテルの部屋に入り、何気なく窓のカーテンを開けた瞬間、思わず「わおっ」と声が漏れた。そこには、高雄湾の夜景が一面に広がっており、まるで映画のワンシーンのような壮大な光景だった。長旅で疲れが残っていたはずなのに、その美しさを目にした途端、まるで体力が一気に回復したような感覚に包まれる。気づけば「もう寝よう」という選択肢はどこかへ消え去り、この景色に誘われるようにして、夜の散歩に出かけずにはいられなかった。
港のほうへ歩いていくと、ライトアップされた「大港橋」が目の前に現れ、思わず足が止まった。本当に息をのむほど美しく、光に浮かび上がるその姿は圧巻だった。実は私は夜景と橋が好きという、少しマニアックな一面があるのだが、その視点から見ても「ずっと見ていられる」と感じるほど完璧な光景。まるで推しがステージで輝いている瞬間を見つめるように、ただ黙って見入ってしまうほどの魅力があった。
港から振り返って町の景色を眺めると、その美しさに思わず見入ってしまった。水面に映る光がきらめき、まるで街全体が輝いているようだった。この夜の気温は30℃近くあり、蒸し暑さがまとわりつくような状態だったが、港を吹き抜ける風は驚くほど心地よく、その不快さを一気に和らげてくれた。その涼しさに包まれていると、「もうここにずっと居られる」と思うほど快適で、思わず時間を忘れてしまう夜景だった。
ここはどうやらカップルに人気の夜景スポットらしく、周囲を見渡すと、どこもかしこも恋人同士ばかりだった。手をつないだり、寄り添ったり、写真を撮ったりと、まさにロマンチックな雰囲気が満ちている。その中でふと、「もしかすると、この場所を一人で歩き回っているのは自分だけなのでは？」という考えが頭をよぎる。少しおかしさを感じつつも、高雄で過ごす初めての夜は、そんな静かな独り歩きとともに幕を閉じたのだった。
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