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スルツェイ島(Surtsey Island) |
世界遺産「スルツェイ島(Surtsey Island)」は、アイスランド南部沖の北大西洋に浮かぶ火山島で、自然の力によって誕生した非常に特異な世界遺産です。2008年にユネスコの世界自然遺産として登録されました。
基本情報
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登録名:Surtsey
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登録年:2008年
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所在国:アイスランド
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分類:自然遺産
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登録基準:自然美と地形形成の過程の代表例(基準ⅸ)
成り立ちと地質学的意義
スルツェイ島は、1963年11月14日、海底火山の噴火により海面上に突如として現れました。この噴火は1967年まで続き、新たな陸地として島を形成しました。
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火山の活動による島の誕生:火山活動のメカニズムや陸地形成のプロセスを**観察できる「自然実験場」**として注目。
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溶岩と火山灰で構成された地層は、風雨と波の浸食にさらされながらも現在も残っています。
生態系の研究拠点
スルツェイは最初から人間の立ち入りが厳しく制限されているため、人為的な影響のない自然の植生拡大や生物の定着の研究が行える世界でも非常に貴重な場所です。
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最初に到達した植物はコケや藻類。その後、風や海鳥によって種子が運ばれ、草花も定着。
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海鳥やカモメの営巣地としても重要で、鳥たちが植物の分布や土壌形成にも影響を与えています。
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昆虫や微生物の到来も確認されており、**「生命のコロニーの形成過程」**を追う科学研究が継続中。

人間の立ち入り禁止
スルツェイ島は厳重に保護されており、観光目的での立ち入りは原則禁止。研究者のみに限定されています。
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空撮やヘリコプターからの見学は可能。
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科学者たちによる定期的な調査が続けられており、今なお変化を続ける島の環境が観察されています。
世界遺産としての価値
ユネスコはスルツェイについて、次のような点で評価しています:
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火山活動による島の誕生と自然の進化を直接観察できる唯一の場のひとつ
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地球の形成と生態系の成長を理解するための極めて貴重な自然実験の場
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人為的な影響を受けていない自然の状態が保たれていること
名前の由来
「スルツェイ(Surtsey)」は、北欧神話に登場する**火の巨人スルト(Surtr)**にちなんで名付けられました。まさに炎の中から誕生した島にふさわしい名前です。
まとめ
スルツェイ島は、「大地の誕生」と「生命の始まり」というテーマを地球規模で観察できる自然遺産です。立ち入りが制限されていることで人の影響が排除され、地球科学・生態学・進化学の研究拠点として世界中から注目を集め続けています。
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