2025年11月12日水曜日

10/18/2025 台湾帰省旅行:二日目・中山・西門・寧夏夜市 - Taiwan Homecoming Trip: Day Two - Zhongshan, Ximen, Ningxia Night Market

 

台湾滞在二日目の朝。本来なら前日の長距離移動と怒涛のミッションラッシュで、泥のように眠っていてもおかしくないはずなのに、私の体内時計は完全に暴走。時差ぼけという名の裏切り者により、目覚めはまさかの朝5時。

「いやいや、まだ夜だろ」と二度寝を試みるも、脳はフル稼働、眼球はギンギン。完全覚醒状態です。ここで無理に布団と戦うのは愚策と判断し、この謎に余った覚醒パワーを有効活用する方向へ舵を切ることにしました。

こうして私は、まだ誰も起きていない故郷・淡水の“素顔”を確認すべく、人影ゼロの早朝の街へと静かに出動。名付けて――「淡水潜入ミッション:夜明け前編」

観光客もスクーターも眠りについた世界で、ただ一人、任務遂行中の異邦人。こうして私の台湾二日目は、想定外にハイテンションな早朝散歩から幕を開けたのでした。


二度寝という選択肢を正式に却下し、観念して外へ出たその瞬間、思わぬボーナスステージが待っていました。近所を流れる一本の川。その川沿いが、まるで「早朝覚醒者専用ですか?」と言いたくなるほど完璧に整備されたウォーキングコースになっていたのです。

長旅とミッション続きでガチガチに固まったこの身体に、これはもう「歩け」という天からの指示。そう判断した私は、人気(ひとけ)ゼロ、音といえば水音と自分の足音だけという贅沢すぎる静寂の中、その川沿いロードへと足を踏み入れました。

観光地でもなく、名所でもない。ただ故郷の日常が、早朝というフィルターを通して特別な舞台に変わる瞬間。こうして私は、時差ボケが生み出した異常な覚醒時間を、故郷の新鮮な空気を全身で吸い込む“極上のリフレッシュタイム”へと華麗に変換したのでした。

動画に収めた早朝の川沿いウォーキングコースは、正直言って反則級の癒やし空間でした。画面越しでも伝わってくる静けさ。のどかな景色の中には、いかにも台湾らしい朱色の寺院がふっと現れ、さらに手入れの行き届いた公園が点在していて、街全体がまだ眠っているかのような穏やかな時間が流れています。

ひんやりとした早朝の空気を胸いっぱいに吸い込みながら歩いているだけで、この淡水という街が持つ“何気ない日常の美しさ”が、35年ぶりに戻ってきた私の心に、少しずつ、でも確実に染み込んできました。

観光でも冒険でもない。ただ静かに歩くだけ。それだけなのに、不思議なほど深い安らぎがある。こうして私は、早朝の川沿いで、ようやく「帰ってきた」という実感を、静かに噛みしめていたのでした。

早朝散歩から戻って、ふと頭をよぎった素朴な疑問がありました。「あれだけバイクが走り回っているのに、路上に停まっている姿をほとんど見かけないのはなぜだ?」

その答えは、あまりにもあっさり、そして衝撃的な形で提示されます。案内されたのは、マンションの地下。そこに広がっていたのは、バイク専用駐車場という名の別世界でした。何十台ものバイクが、まるで展示品のようにピシッと整列。アメリカでは一度も見たことのない光景です。

さらに驚くべきことに、このマンションでは各住戸にバイク1台分の駐車スペースが標準装備。しかも、こうした造りは今の台湾では特別ではなく、むしろ主流なのだとか。


いよいよ台湾滞在二日目のメインミッションが発動。目的地は、台北市のど真ん中です。
現在拠点としている淡水は、台北MRT路線図において赤色、通称レッドラインの最北端にして終着駅。つまり、ここから電車に乗りさえすれば、乗り換えという雑念を一切排除し、台北の心臓部まで一直線という、実に潔い立地なのです。

郊外特有の澄んだ空気を背に、ホームに滑り込んできたレッドラインに乗り込むと、車内は一気に“都市へ向かう気配”に満ちていきます。車窓の景色が変わるたび、記憶に残る昔の台北と、現在進行形の台北が静かに混ざり合っていく感覚。

こうして私は、淡水という穏やかな時間の終着点を後にし、過去と現在が交差する都市の中心部へ向けて出発。名付けて――レッドライン特急・文明開化の旅

静から動へ。郊外から核心へ。台湾二日目は、ここから一気にギアが上がっていきます。


淡水駅から台北中心部・中山駅まで、レッドラインで揺られること約40分。この移動時間が、台湾滞在二日目にして早くも「日常枠」へと昇格していました。

つい昨日まで手探りだったMRTの乗り方も、今や完全に体にインストール済み。改札もホームも迷いなし。車内では観光客特有のキョロキョロ感は影を潜め、すっかりベテラン通勤者の顔で、何気ない車窓の風景を眺めています。

この40分は、もはや移動時間でも待ち時間でもありません。故郷のリズムに少しずつ呼吸を合わせていくための、静かな“慣らし運転”。外の景色が流れるたび、街の活気が心の中にゆっくりと染み込んでいきます。

こうして私たちは、不思議な自信に包まれながら、今日も当たり前の顔で台北の中心部へ。旅人から生活者へ――その切り替えは、すでに始まっていました。


MRTを中山駅で降り、地上へ一歩踏み出した瞬間――空気が変わりました。そこはまさに、「台北でもっともオシャレな町」という肩書きが、そのまま現実になったような空間。

通り沿いには、今どき感全開の洗練されたショップがずらりと並び、人、人、人。街全体が呼吸し、脈打ち、動いているのがはっきりと伝わってきます。視界に入るものすべてが現役で、現代で、そして勢いがある。

数十分前までいた淡水の穏やかで静かな時間は、すでに遠い記憶。ここ中山には、スピード感とファッション性、そして「今の台北」が凝縮されていました。

このギャップこそが、台北という街の底力。私はその最前線に立ち、35年という時間を軽々と飛び越えた、台北の目覚ましい進化を全身で叩き込まれたのでした。


中山でひと息つこうと立ち寄った人気カフェ「GALARIE Bistro」。そのハイセンスすぎる外観を見た瞬間、「ここでコーヒーを飲めば、台北の今がわかる」と確信しました。ところが扉の前で告げられたのは、まさかの一言。

「ご予約はありますか?」

……え、コーヒーですよね?しかし現実は非情。予約がないと入店不可。ただ一杯のコーヒーに、事前の段取りが求められる世界線が、そこにはありました。35年前の台湾では想像すらできなかった文化です。


「中山」エリアは、予約必須のカフェだけでなく、思わず吸い寄せられそうになる魅力的なレストランやカフェが、とにかく無限に湧いてくる危険地帯でした。視線を向ける先、曲がる角、そのすべてに「ちょっと入っていかない?」という誘惑が潜んでいます。

好奇心はフル稼働。正直、このオシャレすぎる街をもっと歩き回りたい気持ちは山ほどありました。しかしこの日はすでに、お昼のレストランを予約済みという、逃れられない現実が待ち構えています。泣く泣く判断。中山エリアの本格探索は、あえて未来の楽しみに封印することにしました。後ろ髪を全力で引かれながら、この魅惑の地を撤退。

こうして私たちは、街の誘惑に背を向けつつ、次なる目的地――予約済み「ランチミッション」へと、規律正しく向かったのでした。


そして次なる目的地は、事前に予約しておいた超人気店――「鼎泰豐(ディンタイフォン)南西店」。


店内に足を踏み入れた瞬間、そこはすでに世界。各国の言語が飛び交い、観光客でぎっしり埋まった空間は、もはや国連総会の食堂状態です。しかし、ここまで来た理由はただ一つ。そう、名物・小籠包。

正直、台湾の物価感覚からすると、価格設定はやや強気。……が、一口食べた瞬間、その疑念は秒速で消滅しました。「はい、これは高くない。むしろ適正。」そう言わざるを得ない完成度。肉汁、皮の薄さ、温度、すべてが計算され尽くしています。

小籠包はもちろん、他の料理も一切のハズレなし。さらに驚いたのは、スタッフの動きと気配り。その洗練されたサービスは、もはやレストランというより“体験型アトラクション”。
鼎泰豐は、ただ食べる場所ではありませんでした。美味しさ・安心感・満足感が三位一体となった、至福の時間。

こうして私たちは、大満足のランチとともに、台北の活力を胃袋から満タン補給。文明開化の旅は、しっかりエネルギーチャージ完了です。


Din Tai Fung Mitsukoshi Nanxi Restaurant

鼎泰豐 南西店

104, Taiwan, Taipei City, Zhongshan District, Nanjing W Rd, 12號B2


大満足のランチで幸福度が最高潮に達したところで、私たちは次なる行動へ。一駅隣の台北駅(Taipei Main Station)へと移動します。目的はただ一つ――明日の高雄行き台湾新幹線(台湾高鉄)のチケット購入という、重要ミッションの遂行です。

そして駅に到着した瞬間、思わず足が止まりました。……で、でかい。想像していた「大きい駅」を軽々と超えてくるスケール感。ニューヨークのグランド・セントラル駅を彷彿とさせる、いや、下手するとそれ以上。ここはもはや駅というより、一つの都市です。

台北駅に到着した瞬間、私たちは立ち尽くすことになります。「……え、なにこの人だかり?」さっきまで“巨大ターミナルに圧倒されていた側”だったはずが、その広大なフロアが、今度は人・人・人で完全制圧されているではありませんか。混雑というレベルを軽々と突破し、もはや異常事態。

その正体は、まさかのポケモン大規模イベント。気づけば駅は一瞬にして、老若男女のトレーナーたちが集結する“聖地”と化していました。ピカチュウは見えなくても、熱量だけは確実に感じる空間。

交通の要衝であるはずの台北駅は、その日その瞬間、完全にイベント会場へとクラスチェンジ。あまりの賑わいとエネルギーに圧倒されつつも、「これぞ台湾」と妙に納得してしまう自分がいます。

台北駅で無事に高雄行きのチケットを確保し、重要ミッションはひとまず完了。時計を見ると、夜の予定まではまだ少し余裕があります。そこで私たちは、この“空白の時間”を有効活用すべく、次なる目的地を設定しました。

向かった先は、台北の若者たちが集うトレンド発信地――西門(シーメン)

日本で言えば渋谷や原宿に例えられるこのエリアは、流行・カルチャー・エネルギーが常に更新され続ける場所。観光というより、台北の「今」を肌で感じるための最適解です。

台北の若者文化の震源地、「西門」は、歩いているだけでテンションが勝手に上がってくる街でした。目的地を決めなくても楽しい。立ち止まらなくても楽しい。とにかく、街そのものがエンタメです。

もし「中山」が日本の渋谷のように洗練された都会の顔だとしたら、「西門」は完全に原宿系。ネオン、音楽、人の波、ファッション、そのすべてがカラフルで、少し雑多で、いい意味でカオス。

通りを行き交う若者たちのエネルギーに押されながら歩いているだけで、「ああ、今の台北ってこうなんだな」と体感させられます。流行はここで生まれ、熱量はここで増幅されている。


ここまで駆け抜けた、台北中心部探索の様子は、ぜひこちらの動画でご覧ください。洗練されたオシャレ空間が広がる「中山」、想定外の熱狂に包まれた「台北駅」でのポケモンイベント、そして若者のエネルギーが爆発する「西門」での街歩き――。

静けさに満ちた淡水から一転、刺激と活気が渦巻く台北のど真ん中へ。この動画には、台北の「今」の表情と、街が放つリアルなエネルギーをぎゅっと凝縮しました。

穏やかな故郷の朝と、眠らない都市の鼓動。その落差こそが、今の台北の面白さ。ぜひ映像で体感してみてください。


夜の待ち合わせ時間が近づき、名残惜しさを感じつつも、私たちは活気あふれる「西門」を後にすることにしました。そのまま次の目的地へ向かうため、ネオンと人波に彩られた街並みを、ちょっとした観光気分で歩いていきます。

目指すのは、MRTレッドラインの最寄り駅「台大醫院(台大病院)」。賑やかだった昼の喧騒は、いつの間にか夜らしい落ち着いた活気へと姿を変え、台北の街もゆっくりと表情を切り替えていくようでした。


西門から台大醫院駅へ向かって歩いていると、不意に視界が開け、目の前に赤レンガ造りの荘厳な建物が姿を現しました。その瞬間、自然と足が止まります。

そこにあったのは、台湾の総統が執務を行う中枢――「總統府」。日本統治時代に建てられたこの建物は、今もなお現役で使われ続けており、夜の街の中でひときわ重厚な存在感を放っていました。

華やかなネオンも、若者の喧騒も届かないような静けさ。その佇まいから伝わってくるのは、台湾が歩んできた長い歴史と、時代を越えて積み重ねられてきた威厳です。

夜の待ち合わせへと向かう、ただの移動時間のはずが、思いがけず台湾の“心臓部”と対面することになった瞬間。


台湾の心臓部・總統府を背にし、私たちは再びMRTレッドラインへ。二駅先の「雙連駅」で下車すると、そこから目的地までは徒歩でおよそ10分です。

この先に待っているのは、怒涛の一日を締めくくる、今夜の待ち合わせ場所。長時間の移動と濃密な体験で溜まった疲労さえ、期待感が上書きしていくのを感じます。

こうして私は、台北の夜に導かれるように、最後の目的地へと足を向けたのでした。


そして辿り着いた、夜の最終目的地――台湾の夜の楽しみを象徴する存在、寧夏夜市

無数の屋台が放つ灯りと熱気、人々のざわめき、立ち上る香ばしい匂い。そのど真ん中で待っていたのは、まさかの再会でした。ニューヨークで学生時代を共に過ごした盟友、TonyとJackson

十数年ぶりの再会。言葉を交わす前から、夜市の喧騒がまるで感動を盛り上げるBGMのように耳に流れ込みます。時間も距離も一気に巻き戻され、気づけば昔と同じテンションで笑っている自分がいました。

Ningxia Night Market

寧夏夜市

Ningxia Rd, Datong District, Taipei City, Taiwan 103

十数年ぶりに再会した旧友たちと、熱狂の渦を巻く寧夏夜市へ突入。目の前には、香ばしい匂いを放つ屋台グルメのオンパレード。視覚と嗅覚は完全に臨戦態勢――だったのですが。

肝心の私の食欲ゲージは、まさかの完全枯渇。時差ぼけと、一日中歩き回ったダメージが一気に押し寄せ、身体は「もう無理」と静かに白旗を掲げていました。最高の舞台に立ちながら、主役不在。これは痛恨です。

最高の夜市、最高の仲間、最高のグルメ。それなのに、挑めない。食べられない。戦えない。しかし、この無念は決して無駄にはしません。

私は固く心に誓いました――体調万全・食欲全開で、必ずやこの寧夏夜市にリベンジマッチを挑むことを。


夜市の熱気をほどよいところで切り上げ、私たちは静かに腰を落ち着けられる近くのカフェへと場所を移しました。目的はただ一つ――ゆっくりと、積もりに積もった話をするためです。

テーブルを囲んだ瞬間から始まるのは、十数年分の空白を一気に埋めていく感動のキャッチアップ。学生時代の他愛ない思い出話から、いつの間にかそれぞれの人生の現在地まで、話題は尽きることなく続きます。

不思議なことに、時間が空いていたとは思えないほど会話は自然で、笑いの間合いも昔のまま。気づけば、疲労も時差ぼけもすっかり忘れていました。

再会を喜び合うこの時間は、派手なイベントよりもずっと贅沢。
気づいたときには、あっという間に夜は深まり、名残惜しさだけを残して、幸せな時間は静かに過ぎ去っていったのでした。


残念ながらこの夜は、疲労と時差ぼけによる食欲不振という不本意な理由で、「食の敗北」を喫する結果となりました。夜市グルメへの本格参戦は、やむなく次回へ持ち越しです。

しかし――それでも、この夜が失敗だったとは微塵も思えません。十数年ぶりの旧友との再会、笑いと語らいに満ちた時間、そして台湾の夜が放つ圧倒的な熱量。そこには、グルメ以上に濃密な思い出が詰まっていました。

そんな感情も含めて、熱気あふれる**「夜市視察ミッション」**の全貌は、ぜひ動画でご覧ください。食では敗北、思い出では完全勝利――そんな台北の夜が、そこに記録されています。


旧友たちとの話にすっかり夢中になり、ふと何気なく時計を確認した瞬間、背筋が凍りました。
「……ヤバい。」

すでに、淡水駅からマンションへ戻るシャトルバスは本日分の任務を終了。最高の友情が引き起こした、帰宅ミッション最大のピンチです。

しかし、ここで慌ててはいけません。即座に頭を切り替え、緊急脱出ルートを発動。目的地を一駅手前の「紅樹林駅」に変更し、そこから出ている深海ライトレール(LRT)で帰還する作戦に切り替えました。

結果的にこれが大正解。最終バスを逃したおかげで、思いがけず体験することになったのは、夜の台北郊外を静かに走る最新の交通手段。車窓から流れる夜景を眺めながら、「これはこれでレア体験だな」と妙に納得している自分がいました。


夜の緊急脱出ルートとして、台湾で初めて**深海ライトレール(LRT)**に乗車することになりましたが、いざ改札を抜けてみると拍子抜け。乗り方は、すでに体に染みついていたMRT(地下鉄)とほぼ同じで、迷う暇すらありませんでした。

切符の扱いも、乗車の流れも直感的。長旅と一日の疲労がピークに達している状態にもかかわらず、ストレスゼロでスッと乗れてしまう。このLRTとMRTの共通設計には、思わず感心せずにはいられませんでした。

「初めてなのに、初めてじゃない感覚」。それこそが、台湾の交通システムの優しさであり、完成度の高さなのだと実感します。

LRTを降りる直前、何気なくスマートウォッチを確認した私は、思わず二度見しました。
そこに表示されていた数字――「40,000歩オーバー」

……いや、待て。それって散歩の域、完全に超えてない?

調べてみると、その距離はほぼフルマラソン相当。なるほど、意識が朦朧としていた理由が一瞬で判明しました。時差ぼけでも、食欲不振でもない。真犯人は――圧倒的・運動過多

台北の中心部を、地下も地上も縦横無尽に歩き倒した結果、私は知らぬ間に人生最高歩数を更新していたのです。観光のつもりが、気づけば耐久レース。

こうして台湾二日目は、グルメは未完、体力は枯渇、しかし記録は偉大という、なんとも台湾らしい(?)結末で幕を閉じました。興奮と疲労を同時に携えた、忘れられない一日だったのは間違いありません。

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