Friday, September 12, 2025

絵で見る「世界遺産」スルツェイ島(Surtsey Island)ー アイスランド UNESCO 1267 Surtsey Island




スルツェイ島(Surtsey Island)

世界遺産「スルツェイ島(Surtsey Island)」は、アイスランド南部沖の北大西洋に浮かぶ火山島で、自然の力によって誕生した非常に特異な世界遺産です。2008年にユネスコの世界自然遺産として登録されました。


基本情報

  • 登録名:Surtsey

  • 登録年:2008年

  • 所在国:アイスランド

  • 分類:自然遺産

  • 登録基準:自然美と地形形成の過程の代表例(基準ⅸ)



成り立ちと地質学的意義

スルツェイ島は、1963年11月14日、海底火山の噴火により海面上に突如として現れました。この噴火は1967年まで続き、新たな陸地として島を形成しました。

  • 火山の活動による島の誕生:火山活動のメカニズムや陸地形成のプロセスを**観察できる「自然実験場」**として注目。

  • 溶岩と火山灰で構成された地層は、風雨と波の浸食にさらされながらも現在も残っています。



生態系の研究拠点

スルツェイは最初から人間の立ち入りが厳しく制限されているため、人為的な影響のない自然の植生拡大や生物の定着の研究が行える世界でも非常に貴重な場所です。

  • 最初に到達した植物はコケや藻類。その後、風や海鳥によって種子が運ばれ、草花も定着。

  • 海鳥やカモメの営巣地としても重要で、鳥たちが植物の分布や土壌形成にも影響を与えています。

  • 昆虫や微生物の到来も確認されており、**「生命のコロニーの形成過程」**を追う科学研究が継続中。




人間の立ち入り禁止

スルツェイ島は厳重に保護されており、観光目的での立ち入りは原則禁止。研究者のみに限定されています。

  • 空撮やヘリコプターからの見学は可能。

  • 科学者たちによる定期的な調査が続けられており、今なお変化を続ける島の環境が観察されています。




世界遺産としての価値

ユネスコはスルツェイについて、次のような点で評価しています:

  • 火山活動による島の誕生と自然の進化を直接観察できる唯一の場のひとつ

  • 地球の形成と生態系の成長を理解するための極めて貴重な自然実験の場

  • 人為的な影響を受けていない自然の状態が保たれていること



名前の由来

「スルツェイ(Surtsey)」は、北欧神話に登場する**火の巨人スルト(Surtr)**にちなんで名付けられました。まさに炎の中から誕生した島にふさわしい名前です。



まとめ

スルツェイ島は、「大地の誕生」と「生命の始まり」というテーマを地球規模で観察できる自然遺産です。立ち入りが制限されていることで人の影響が排除され、地球科学・生態学・進化学の研究拠点として世界中から注目を集め続けています。




絵で見る「世界遺産」カステル・デル・モンテ(Castel del Monte)ー イタリア UNESCO 398 Castel del Monte




カステル・デル・モンテ(Castel del Monte)

 世界遺産「カステル・デル・モンテ(Castel del Monte)」は、イタリア南部プッリャ州アンドリア近郊に位置する、中世の謎めいた城で、1996年にユネスコ世界遺産に登録されました。


基本情報

  • 登録名:Castel del Monte

  • 登録年:1996年

  • 所在国:イタリア

  • 分類:文化遺産

  • 所在地:アンドリア近郊(プッリャ州)


歴史的背景

カステル・デル・モンテは、神聖ローマ皇帝フリードリヒ2世によって、1240年頃に建設が始まったとされています。しかし、この城は戦闘用の要塞とは異なり、堀や兵舎、台所がないことから、「象徴的」「天文学的な目的」「学術的な館」など多様な用途が推測されています。


八角形の平面設計

建築的特徴

  • 八角形の平面設計:中央の八角形の中庭を囲むように、八つの八角形の塔が配置されています。

  • 精密な幾何学構造:数学・天文学的知識に基づいて設計されたとも言われており、太陽光の入り方も計算された構造です。

  • ロマネスク、ゴシック、イスラム、古代ローマの要素を融合:文化的な多様性を感じさせる建築様式。


世界遺産としての価値

ユネスコは以下の点を評価して世界遺産に登録しました:

  • 独創的で完璧な幾何学的デザイン

  • 文化・建築の融合(西洋と東洋の思想の統合)

  • 歴史的、象徴的価値(神秘性が強く、多様な解釈を呼ぶ構造)





謎に満ちた城

カステル・デル・モンテにはいまだ多くの謎があります。以下のような説が議論されています:

  • 神聖ローマ皇帝の「知の館」説

  • 太陽や季節の移り変わりを観測する天文台説

  • 象徴主義に満ちた「精神の要塞」説


八角形の中庭

観光情報(参考)

  • 最寄り都市:アンドリア(Bariから車で1時間程度)

  • 見どころ:八角形の中庭、大理石の装飾、城からのパノラマビュー

  • 備考:現在は博物館・観光地として整備されており、内部を自由に見学できます。



まとめ

カステル・デル・モンテは、軍事施設とも居城とも異なる独自の設計により、中世建築の中でも特異な存在です。その完璧な幾何学性と神秘性は、現代でも多くの人々を魅了し、学術的にも観光的にも価値の高い世界遺産です。



Wednesday, August 27, 2025

NYで「廃」 Randall's Island Golf Center ランドルズアイランド・ゴルフ練習場




ニューヨーク市におけるリクリエーションの象徴とも言える「Randall's Island Golf Center(ランドールズ・アイランド・ゴルフセンター)」は、1993年にAmerican Golf Corporationによってオープンしました。これは、ランドールズ島をスポーツとレジャーの拠点として活性化させる大きな計画の一環でした。

オープン当初、この施設にはゴルフ練習場をはじめ、プロショップ、バッティングセンター、そしてミニチュアゴルフコースまで整備され、幅広い世代に親しまれる複合的なスポーツ施設として人気を集めました。

その後2008年には、経営難に陥った運営をNorth Shore Golf Groupが引き継ぎ、約50万ドルを投じた大規模改修を実施。クラブハウスのリニューアル、暖房付き打席の導入、そしてスタジアム仕様の照明設備による夜間利用の拡充などが行われ、施設は再び輝きを取り戻しました。

さらに2018年、ニューヨーク市当局はDrive Shack Incに再建計画を発注。既存のゴルフセンターを取り壊し、複数階建ての娯楽・リクリエーション複合施設として再生するという壮大なプロジェクトが打ち出されました。期待は大きく膨らみましたが、その後の展開は誰もが予想しなかった方向へと進んでいきます。


時が止まったゴルフセンター ― 廃墟と化した現在の姿


2018年の閉鎖を境に、Randall's Island Golf Centerはまるで時計の針が止まったかのような状態に置かれています。再建プロジェクトは設計段階で停滞し、さらに2020年のパンデミックによって建設業界全体が大きな打撃を受けたことで計画は大幅に遅延。2023年夏の着工予定も実現せず、2025年現在も再開発の具体的なスケジュールは明らかになっていません。


かつて賑わいを見せたゴルフ打席やクラブハウスは、今では荒れ果てたまま放置され、草木が侵入し始めています。風に揺れるフェンスの軋む音や、割れたガラス越しに差し込む光は、まるで廃墟探訪をしているかのような異様な雰囲気を漂わせています。


この静けさは、かつての賑わいを知る人々にとっては強烈なコントラストとなり、都市再開発の光と影を象徴する光景といえるでしょう。ニューヨークのど真ん中にありながら、取り残されたような「空白の時間」。それが今のRandall's Island Golf Centerです。


ギャラリー


ゴルフの練習台が置かれていたところ

未だに放置されている、ゴルフ練習台

練習台から見た風景

ゴルフ練習場のクラブハウス


かつてにぎわいを見せていた、バーカウンター

野球のバッティングセンターを放置された状態

ゴルフ練習台の入り口

2階練習場へとつなぐ階段

2階の練習場


2階の練習台からみた風景