Wednesday, November 12, 2025

10/18/2025 台湾帰省旅行:二日目・中山・西門・寧夏夜市 - Taiwan Homecoming Trip: Day Two - Zhongshan, Ximen, Ningxia Night Market

 

台湾滞在二日目の朝。本来なら前日の長距離移動と怒涛のミッションラッシュで、泥のように眠っていてもおかしくないはずなのに、私の体内時計は完全に暴走。時差ぼけという名の裏切り者により、目覚めはまさかの朝5時。

「いやいや、まだ夜だろ」と二度寝を試みるも、脳はフル稼働、眼球はギンギン。完全覚醒状態です。ここで無理に布団と戦うのは愚策と判断し、この謎に余った覚醒パワーを有効活用する方向へ舵を切ることにしました。

こうして私は、まだ誰も起きていない故郷・淡水の“素顔”を確認すべく、人影ゼロの早朝の街へと静かに出動。名付けて――「淡水潜入ミッション:夜明け前編」

観光客もスクーターも眠りについた世界で、ただ一人、任務遂行中の異邦人。こうして私の台湾二日目は、想定外にハイテンションな早朝散歩から幕を開けたのでした。


二度寝という選択肢を正式に却下し、観念して外へ出たその瞬間、思わぬボーナスステージが待っていました。近所を流れる一本の川。その川沿いが、まるで「早朝覚醒者専用ですか?」と言いたくなるほど完璧に整備されたウォーキングコースになっていたのです。

長旅とミッション続きでガチガチに固まったこの身体に、これはもう「歩け」という天からの指示。そう判断した私は、人気(ひとけ)ゼロ、音といえば水音と自分の足音だけという贅沢すぎる静寂の中、その川沿いロードへと足を踏み入れました。

観光地でもなく、名所でもない。ただ故郷の日常が、早朝というフィルターを通して特別な舞台に変わる瞬間。こうして私は、時差ボケが生み出した異常な覚醒時間を、故郷の新鮮な空気を全身で吸い込む“極上のリフレッシュタイム”へと華麗に変換したのでした。


動画に収めた早朝の川沿いウォーキングコースは、正直言って反則級の癒やし空間でした。画面越しでも伝わってくる静けさ。のどかな景色の中には、いかにも台湾らしい朱色の寺院がふっと現れ、さらに手入れの行き届いた公園が点在していて、街全体がまだ眠っているかのような穏やかな時間が流れています。

ひんやりとした早朝の空気を胸いっぱいに吸い込みながら歩いているだけで、この淡水という街が持つ“何気ない日常の美しさ”が、35年ぶりに戻ってきた私の心に、少しずつ、でも確実に染み込んできました。

観光でも冒険でもない。ただ静かに歩くだけ。それだけなのに、不思議なほど深い安らぎがある。こうして私は、早朝の川沿いで、ようやく「帰ってきた」という実感を、静かに噛みしめていたのでした。

早朝散歩から戻って、ふと頭をよぎった素朴な疑問がありました。「あれだけバイクが走り回っているのに、路上に停まっている姿をほとんど見かけないのはなぜだ?」

その答えは、あまりにもあっさり、そして衝撃的な形で提示されます。案内されたのは、マンションの地下。そこに広がっていたのは、バイク専用駐車場という名の別世界でした。何十台ものバイクが、まるで展示品のようにピシッと整列。アメリカでは一度も見たことのない光景です。

さらに驚くべきことに、このマンションでは各住戸にバイク1台分の駐車スペースが標準装備。しかも、こうした造りは今の台湾では特別ではなく、むしろ主流なのだとか。


いよいよ台湾滞在二日目のメインミッションが発動。目的地は、台北市のど真ん中です。
現在拠点としている淡水は、台北MRT路線図において赤色、通称レッドラインの最北端にして終着駅。つまり、ここから電車に乗りさえすれば、乗り換えという雑念を一切排除し、台北の心臓部まで一直線という、実に潔い立地なのです。

郊外特有の澄んだ空気を背に、ホームに滑り込んできたレッドラインに乗り込むと、車内は一気に“都市へ向かう気配”に満ちていきます。車窓の景色が変わるたび、記憶に残る昔の台北と、現在進行形の台北が静かに混ざり合っていく感覚。

こうして私は、淡水という穏やかな時間の終着点を後にし、過去と現在が交差する都市の中心部へ向けて出発。名付けて――レッドライン特急・文明開化の旅

静から動へ。郊外から核心へ。台湾二日目は、ここから一気にギアが上がっていきます。


淡水駅から台北中心部・中山駅まで、レッドラインで揺られること約40分。この移動時間が、台湾滞在二日目にして早くも「日常枠」へと昇格していました。

つい昨日まで手探りだったMRTの乗り方も、今や完全に体にインストール済み。改札もホームも迷いなし。車内では観光客特有のキョロキョロ感は影を潜め、すっかりベテラン通勤者の顔で、何気ない車窓の風景を眺めています。

この40分は、もはや移動時間でも待ち時間でもありません。故郷のリズムに少しずつ呼吸を合わせていくための、静かな“慣らし運転”。外の景色が流れるたび、街の活気が心の中にゆっくりと染み込んでいきます。

こうして私たちは、不思議な自信に包まれながら、今日も当たり前の顔で台北の中心部へ。旅人から生活者へ――その切り替えは、すでに始まっていました。


MRTを中山駅で降り、地上へ一歩踏み出した瞬間――空気が変わりました。そこはまさに、「台北でもっともオシャレな町」という肩書きが、そのまま現実になったような空間。

通り沿いには、今どき感全開の洗練されたショップがずらりと並び、人、人、人。街全体が呼吸し、脈打ち、動いているのがはっきりと伝わってきます。視界に入るものすべてが現役で、現代で、そして勢いがある。

数十分前までいた淡水の穏やかで静かな時間は、すでに遠い記憶。ここ中山には、スピード感とファッション性、そして「今の台北」が凝縮されていました。

このギャップこそが、台北という街の底力。私はその最前線に立ち、35年という時間を軽々と飛び越えた、台北の目覚ましい進化を全身で叩き込まれたのでした。


中山でひと息つこうと立ち寄った人気カフェ「GALARIE Bistro」。そのハイセンスすぎる外観を見た瞬間、「ここでコーヒーを飲めば、台北の今がわかる」と確信しました。ところが扉の前で告げられたのは、まさかの一言。

「ご予約はありますか?」

……え、コーヒーですよね?しかし現実は非情。予約がないと入店不可。ただ一杯のコーヒーに、事前の段取りが求められる世界線が、そこにはありました。35年前の台湾では想像すらできなかった文化です。


「中山」エリアは、予約必須のカフェだけでなく、思わず吸い寄せられそうになる魅力的なレストランやカフェが、とにかく無限に湧いてくる危険地帯でした。視線を向ける先、曲がる角、そのすべてに「ちょっと入っていかない?」という誘惑が潜んでいます。

好奇心はフル稼働。正直、このオシャレすぎる街をもっと歩き回りたい気持ちは山ほどありました。しかしこの日はすでに、お昼のレストランを予約済みという、逃れられない現実が待ち構えています。泣く泣く判断。中山エリアの本格探索は、あえて未来の楽しみに封印することにしました。後ろ髪を全力で引かれながら、この魅惑の地を撤退。

こうして私たちは、街の誘惑に背を向けつつ、次なる目的地――予約済み「ランチミッション」へと、規律正しく向かったのでした。


そして次なる目的地は、事前に予約しておいた超人気店――「鼎泰豐(ディンタイフォン)南西店」。


店内に足を踏み入れた瞬間、そこはすでに世界。各国の言語が飛び交い、観光客でぎっしり埋まった空間は、もはや国連総会の食堂状態です。しかし、ここまで来た理由はただ一つ。そう、名物・小籠包。

正直、台湾の物価感覚からすると、価格設定はやや強気。……が、一口食べた瞬間、その疑念は秒速で消滅しました。「はい、これは高くない。むしろ適正。」そう言わざるを得ない完成度。肉汁、皮の薄さ、温度、すべてが計算され尽くしています。

小籠包はもちろん、他の料理も一切のハズレなし。さらに驚いたのは、スタッフの動きと気配り。その洗練されたサービスは、もはやレストランというより“体験型アトラクション”。
鼎泰豐は、ただ食べる場所ではありませんでした。美味しさ・安心感・満足感が三位一体となった、至福の時間。

こうして私たちは、大満足のランチとともに、台北の活力を胃袋から満タン補給。文明開化の旅は、しっかりエネルギーチャージ完了です。


Din Tai Fung Mitsukoshi Nanxi Restaurant

鼎泰豐 南西店

104, Taiwan, Taipei City, Zhongshan District, Nanjing W Rd, 12號B2


大満足のランチで幸福度が最高潮に達したところで、私たちは次なる行動へ。一駅隣の台北駅(Taipei Main Station)へと移動します。目的はただ一つ――明日の高雄行き台湾新幹線(台湾高鉄)のチケット購入という、重要ミッションの遂行です。

そして駅に到着した瞬間、思わず足が止まりました。……で、でかい。想像していた「大きい駅」を軽々と超えてくるスケール感。ニューヨークのグランド・セントラル駅を彷彿とさせる、いや、下手するとそれ以上。ここはもはや駅というより、一つの都市です。

台北駅に到着した瞬間、私たちは立ち尽くすことになります。「……え、なにこの人だかり?」さっきまで“巨大ターミナルに圧倒されていた側”だったはずが、その広大なフロアが、今度は人・人・人で完全制圧されているではありませんか。混雑というレベルを軽々と突破し、もはや異常事態。

その正体は、まさかのポケモン大規模イベント。気づけば駅は一瞬にして、老若男女のトレーナーたちが集結する“聖地”と化していました。ピカチュウは見えなくても、熱量だけは確実に感じる空間。

交通の要衝であるはずの台北駅は、その日その瞬間、完全にイベント会場へとクラスチェンジ。あまりの賑わいとエネルギーに圧倒されつつも、「これぞ台湾」と妙に納得してしまう自分がいます。

台北駅で無事に高雄行きのチケットを確保し、重要ミッションはひとまず完了。時計を見ると、夜の予定まではまだ少し余裕があります。そこで私たちは、この“空白の時間”を有効活用すべく、次なる目的地を設定しました。

向かった先は、台北の若者たちが集うトレンド発信地――西門(シーメン)

日本で言えば渋谷や原宿に例えられるこのエリアは、流行・カルチャー・エネルギーが常に更新され続ける場所。観光というより、台北の「今」を肌で感じるための最適解です。

台北の若者文化の震源地、「西門」は、歩いているだけでテンションが勝手に上がってくる街でした。目的地を決めなくても楽しい。立ち止まらなくても楽しい。とにかく、街そのものがエンタメです。

もし「中山」が日本の渋谷のように洗練された都会の顔だとしたら、「西門」は完全に原宿系。ネオン、音楽、人の波、ファッション、そのすべてがカラフルで、少し雑多で、いい意味でカオス。

通りを行き交う若者たちのエネルギーに押されながら歩いているだけで、「ああ、今の台北ってこうなんだな」と体感させられます。流行はここで生まれ、熱量はここで増幅されている。




ここまで駆け抜けた、台北中心部探索の様子は、ぜひこちらの動画でご覧ください。洗練されたオシャレ空間が広がる「中山」、想定外の熱狂に包まれた「台北駅」でのポケモンイベント、そして若者のエネルギーが爆発する「西門」での街歩き――。

静けさに満ちた淡水から一転、刺激と活気が渦巻く台北のど真ん中へ。この動画には、台北の「今」の表情と、街が放つリアルなエネルギーをぎゅっと凝縮しました。

穏やかな故郷の朝と、眠らない都市の鼓動。その落差こそが、今の台北の面白さ。ぜひ映像で体感してみてください。


夜の待ち合わせ時間が近づき、名残惜しさを感じつつも、私たちは活気あふれる「西門」を後にすることにしました。そのまま次の目的地へ向かうため、ネオンと人波に彩られた街並みを、ちょっとした観光気分で歩いていきます。

目指すのは、MRTレッドラインの最寄り駅「台大醫院(台大病院)」。賑やかだった昼の喧騒は、いつの間にか夜らしい落ち着いた活気へと姿を変え、台北の街もゆっくりと表情を切り替えていくようでした。


西門から台大醫院駅へ向かって歩いていると、不意に視界が開け、目の前に赤レンガ造りの荘厳な建物が姿を現しました。その瞬間、自然と足が止まります。

そこにあったのは、台湾の総統が執務を行う中枢――「總統府」。日本統治時代に建てられたこの建物は、今もなお現役で使われ続けており、夜の街の中でひときわ重厚な存在感を放っていました。

華やかなネオンも、若者の喧騒も届かないような静けさ。その佇まいから伝わってくるのは、台湾が歩んできた長い歴史と、時代を越えて積み重ねられてきた威厳です。

夜の待ち合わせへと向かう、ただの移動時間のはずが、思いがけず台湾の“心臓部”と対面することになった瞬間。


台湾の心臓部・總統府を背にし、私たちは再びMRTレッドラインへ。二駅先の「雙連駅」で下車すると、そこから目的地までは徒歩でおよそ10分です。

この先に待っているのは、怒涛の一日を締めくくる、今夜の待ち合わせ場所。長時間の移動と濃密な体験で溜まった疲労さえ、期待感が上書きしていくのを感じます。

こうして私は、台北の夜に導かれるように、最後の目的地へと足を向けたのでした。


そして辿り着いた、夜の最終目的地――台湾の夜の楽しみを象徴する存在、寧夏夜市

無数の屋台が放つ灯りと熱気、人々のざわめき、立ち上る香ばしい匂い。そのど真ん中で待っていたのは、まさかの再会でした。ニューヨークで学生時代を共に過ごした盟友、TonyとJackson

十数年ぶりの再会。言葉を交わす前から、夜市の喧騒がまるで感動を盛り上げるBGMのように耳に流れ込みます。時間も距離も一気に巻き戻され、気づけば昔と同じテンションで笑っている自分がいました。

Ningxia Night Market

寧夏夜市

Ningxia Rd, Datong District, Taipei City, Taiwan 103

十数年ぶりに再会した旧友たちと、熱狂の渦を巻く寧夏夜市へ突入。目の前には、香ばしい匂いを放つ屋台グルメのオンパレード。視覚と嗅覚は完全に臨戦態勢――だったのですが。

肝心の私の食欲ゲージは、まさかの完全枯渇。時差ぼけと、一日中歩き回ったダメージが一気に押し寄せ、身体は「もう無理」と静かに白旗を掲げていました。最高の舞台に立ちながら、主役不在。これは痛恨です。

最高の夜市、最高の仲間、最高のグルメ。それなのに、挑めない。食べられない。戦えない。しかし、この無念は決して無駄にはしません。

私は固く心に誓いました――体調万全・食欲全開で、必ずやこの寧夏夜市にリベンジマッチを挑むことを。


夜市の熱気をほどよいところで切り上げ、私たちは静かに腰を落ち着けられる近くのカフェへと場所を移しました。目的はただ一つ――ゆっくりと、積もりに積もった話をするためです。

テーブルを囲んだ瞬間から始まるのは、十数年分の空白を一気に埋めていく感動のキャッチアップ。学生時代の他愛ない思い出話から、いつの間にかそれぞれの人生の現在地まで、話題は尽きることなく続きます。

不思議なことに、時間が空いていたとは思えないほど会話は自然で、笑いの間合いも昔のまま。気づけば、疲労も時差ぼけもすっかり忘れていました。

再会を喜び合うこの時間は、派手なイベントよりもずっと贅沢。
気づいたときには、あっという間に夜は深まり、名残惜しさだけを残して、幸せな時間は静かに過ぎ去っていったのでした。




残念ながらこの夜は、疲労と時差ぼけによる食欲不振という不本意な理由で、「食の敗北」を喫する結果となりました。夜市グルメへの本格参戦は、やむなく次回へ持ち越しです。

しかし――それでも、この夜が失敗だったとは微塵も思えません。十数年ぶりの旧友との再会、笑いと語らいに満ちた時間、そして台湾の夜が放つ圧倒的な熱量。そこには、グルメ以上に濃密な思い出が詰まっていました。

そんな感情も含めて、熱気あふれる**「夜市視察ミッション」**の全貌は、ぜひ動画でご覧ください。食では敗北、思い出では完全勝利――そんな台北の夜が、そこに記録されています。


旧友たちとの話にすっかり夢中になり、ふと何気なく時計を確認した瞬間、背筋が凍りました。
「……ヤバい。」

すでに、淡水駅からマンションへ戻るシャトルバスは本日分の任務を終了。最高の友情が引き起こした、帰宅ミッション最大のピンチです。

しかし、ここで慌ててはいけません。即座に頭を切り替え、緊急脱出ルートを発動。目的地を一駅手前の「紅樹林駅」に変更し、そこから出ている深海ライトレール(LRT)で帰還する作戦に切り替えました。

結果的にこれが大正解。最終バスを逃したおかげで、思いがけず体験することになったのは、夜の台北郊外を静かに走る最新の交通手段。車窓から流れる夜景を眺めながら、「これはこれでレア体験だな」と妙に納得している自分がいました。


夜の緊急脱出ルートとして、台湾で初めて**深海ライトレール(LRT)**に乗車することになりましたが、いざ改札を抜けてみると拍子抜け。乗り方は、すでに体に染みついていたMRT(地下鉄)とほぼ同じで、迷う暇すらありませんでした。

切符の扱いも、乗車の流れも直感的。長旅と一日の疲労がピークに達している状態にもかかわらず、ストレスゼロでスッと乗れてしまう。このLRTとMRTの共通設計には、思わず感心せずにはいられませんでした。

「初めてなのに、初めてじゃない感覚」。それこそが、台湾の交通システムの優しさであり、完成度の高さなのだと実感します。

LRTを降りる直前、何気なくスマートウォッチを確認した私は、思わず二度見しました。
そこに表示されていた数字――「40,000歩オーバー」

……いや、待て。それって散歩の域、完全に超えてない?

調べてみると、その距離はほぼフルマラソン相当。なるほど、意識が朦朧としていた理由が一瞬で判明しました。時差ぼけでも、食欲不振でもない。真犯人は――圧倒的・運動過多

台北の中心部を、地下も地上も縦横無尽に歩き倒した結果、私は知らぬ間に人生最高歩数を更新していたのです。観光のつもりが、気づけば耐久レース。

こうして台湾二日目は、グルメは未完、体力は枯渇、しかし記録は偉大という、なんとも台湾らしい(?)結末で幕を閉じました。興奮と疲労を同時に携えた、忘れられない一日だったのは間違いありません。

Tuesday, November 11, 2025

10/17/2025 台湾帰省旅行:初日・淡水 - Taiwan Homecoming Trip: Day One Tamsui


 

台湾に降り立った私は、時差ボケと高揚感をごちゃ混ぜに抱えながら、今回の宿泊先の新北市「淡水(たんすい)」へ一直線。迷う暇もなくタクシーに乗り込み、車窓から流れていく台湾の街並みを眺めます。

空港から淡水までは約1時間弱。台北市内からMRTで45分ほどというアクセスの良さもあって、淡水は定番観光地として知られていますが、実はそれだけじゃない。近年は都市開発がぐっと進み、「住みたい街」としても静かに、しかし確実に注目度が上昇中なのです。

歴史の香りが残る街並みに、新しい建物や活気が自然に溶け込む――そんな“今どき淡水”へ向かう道中、旅はまだ始まったばかりだというのに、すでに胸は期待でパンパン。さて、どんな景色が待っているのか。

タクシーが止まり、ドアが開いたその瞬間――目の前に現れた建物を見て、思わず二度見。
「……え? ここ? 高級マンションじゃない?」

正直に言うと、もう少し“それなり”の建物を想像していました。ところが現実は、想像を軽く飛び越えてくる洗練度。堂々たる外観、無駄のないデザイン、そして漂うゴージャス感。完全に想定外です。

一気にテンションが跳ね上がり、さっきまでの長旅の疲れはどこへやら。心はすでに絶好調。まさか「到着した瞬間」に、台湾の進化と豊かさを体感させられるとは――この旅、どうやら最初から本気で歓迎してくれているようです。

部屋から見える淡水川の眺め

今回泊まる部屋の窓を開けた瞬間、思わず「これは当たりだ」と確信しました。目の前には、台北市内へとゆったり流れていく大きな淡水川。その向こうには、建設中の巨大プロジェクト「淡江大橋」が堂々と姿を見せています。

地元の人に聞くと、この橋が完成すれば、桃園空港までの移動時間はなんと約30分。「便利になる」というレベルを軽く超えた話で、これを聞いた瞬間、淡水エリアがなぜここまで注目されているのか、一気に腑に落ちました。

目の前に広がる美しい川の景色と、未来へ向かって伸びていく建設中の橋。その両方を同時に眺めながら、台湾――そして自分の故郷が、今この瞬間もものすごいスピードで進化していることを、静かに実感しました。

マンションから淡水駅まで出ているシャトルバス

部屋で一息つく間もなく、次のミッションが発動。東京から到着する姉を迎えるため、台北市内の台北松山空港へ向かわなければなりません。

最寄りのMRT淡水駅までは、徒歩で30分オーバー。到着初日からそれはさすがに体力的にハードすぎる。そこで登場したのが、マンション管理会社が運行するシャトルバス。料金はなんと10NT$という良心価格。迷う理由はゼロです。

シャトルバスでサクッと淡水駅へ移動し、そのまま市内へ。長旅の疲れは確実に残っているはずなのに、台湾滞在はスタートから完全ノンストップ。どうやらこの旅、ゆっくりする気は最初からないようです。


淡水から台北の中心部までは約40分


MRTレッドラインの電車から見れる街並み

MRTの乗り方も正直よく分からないまま、勢いで改札を抜け、なんとか電車に乗り込み成功。ひとまず一安心です。

走り出した車内から見える景色は、どれもこれも新鮮そのもの。眠気や疲れなんてどこへやら、目と頭はフル稼働。変わりゆく街並みを一つ残らず吸収しようと、気分はすっかり「走る故郷観察隊」。

高層ビル、住宅街、懐かしさの残る風景――次から次へと現れる光景に、気づけばずっと窓の外に釘付けでした。体力は確実に削られているはずなのに、それ以上に好奇心と興奮が勝ってしまう。

こうして松山空港までの道のりは、疲労感ゼロとは言えないものの、最後まで飽きることなく楽しめたのでした。

松山空港の待合ロビー

台北松山空港に到着し、多少の遅れはあったものの、無事に姉と合流。長旅の疲れと「ちゃんと迎えられた」という安堵感が一気に押し寄せ、ようやく一息――つけると思った、その瞬間でした。

姉の口から飛び出した一言。「どこにも寄らず、そのままマンション戻ろう。」

……え?さっきまでのMRT奮闘劇は何だったのか。乗り方も分からず、必死に乗り継いで迎えに来た努力は、ここでまさかの即Uターン決定です。

というわけで、私たちはあっさり電車を諦め、タクシーに乗り換え。今度は高速を使って、勢いよく淡水へ逆戻り。スタートから予想を裏切る展開の連続となり、「この旅、ただでは終わらなそうだ」という予感だけが、しっかりと残ったのでした。


姉と合流し、タクシーで淡水へ引き返す途中。車窓に、ふと見覚えのある赤いシルエットが飛び込んできました。思わず反射的に口から出たひと言。「あ、あれ……圓山大飯店だ!」

どうやらその声に、運転手さんが気づいてくれたようです。次の瞬間、タクシーはスーッとスピードを落とし、まるで「どうぞ、ゆっくり見てください」と言わんばかりに、景色を流してくれました。

慌ててカメラを構える私。赤く堂々と佇む圓山大飯店を、しっかりと写真に収めることができました。何気ない気遣いでしたが、その一瞬が胸にじんわりと沁みます。


淡水のマンションに戻り、「やっと休める……」と思ったのも束の間。長旅で疲労と眠気はすでに限界、意識はほぼ半分夢の中。それでも、休憩という選択肢は与えられませんでした。

なぜなら今回の台湾“帰省”には、絶対に避けて通れない最大ミッション――そう、「戸籍登録」という最重要タスクが待ち構えていたのです。

そのまま私たちは、新北市淡水の市役所へ直行。長時間フライトと移動を重ねた体は悲鳴を上げ、頭はふわふわ。それでも「今日やらねばならぬ」という使命感だけを頼りに、朦朧とした意識のまま前進します。

こうして、体力ゲージはほぼゼロ、しかし重要度はMAXという、なかなかハードな状況で、台湾帰省の最重要ミッションに挑むことになったのでした。


市役所での大仕事を無事に終えた瞬間、全身から一気に力が抜けました。「終わった……」
このひと言に、安堵と達成感のすべてが詰まっています。

その解放感を祝うべく、私たちが向かったのは、淡水駅前の眺め抜群レストラン「1010湘 淡水店」。まだ少し早めの午後5時から、堂々のディナータイム突入です。

大きな窓の外には、ゆったりと流れる淡水川。夕暮れに染まり始めた景色を眺めながらの食事は、ただのご飯ではありません。長旅、連続ミッション、睡眠不足――すべてで削られた体力を一気に回復させてくれる、まさに「命のディナー」。

1010 Hunan Cuisine Tamsui Branch

1010湘 淡水店

251, Taiwan, New Taipei City, Tamsui District, Zhongshan Rd, 8號9樓


美味しいディナーを終える頃には、長旅と連続ミッションの疲れがついに臨界点へ。意識はふわふわ、思考は低空飛行。正直に言うと、その後どうやって淡水のあのマンションに帰り着いたのか、記憶はほぼ残っていません。

気づいたら「帰っていた」。それだけは確かです。人間、限界を超えると、移動の記憶ごと消えるらしい。

意識朦朧のまま戻っため、その後の記憶はほぼ白紙。……だったはずなのですが、翌朝スマホの写真フォルダを開いて、すべてを悟りました。

そこには、夜中にコンビニへ行き、ヤクルトを買っている決定的証拠写真が一枚。どうやら私は、眠気と疲労の底でなお「ヤクルト補給」というミッションを遂行していたようです。

そして、さらに衝撃だったのがそのサイズ感。写真右のボトルですら、日本の標準サイズより余裕で1.5倍はありそうなのに、中央にはもはや凶器レベルの特大ボトルが堂々と鎮座。推定3倍サイズです。

極限まで疲れ切った私を夜中に突き動かした原動力――それは理性でも計画でもなく、「巨大ヤクルトを求める本能」だったのかもしれません。

35年ぶりの台湾初日は、記憶を失い、ヤクルトを得て、完全終了。人間、限界を超えても、腸内環境だけは守ろうとするものなのですね。



Monday, November 10, 2025

10/16/2025 台湾帰省旅行フライト編 - Taiwan Homecoming Trip: Flight Edition

 



35年ぶり、ついに“帰郷ボタン”をポチりました。目的地・台湾。これはただの帰省じゃありません。時空をワープする大冒険です。

懐かしさで胸がいっぱいになる一方で、「言葉、ちゃんと通じる…?」「え、今の台湾ってそんな感じなの?」という言葉の壁&カルチャーショック予報も若干あり☁️

……がしかし。そんな不安は、再会へのワクワクにあっさり押し出されました。

35年分たまりにたまった家族の愛、記憶の奥に眠っていた故郷の匂いと温度、それらを全身で浴びに行く旅です。泣くか、笑うか、食べ過ぎるか(たぶん全部)。最高の思い出をスーツケースいっぱいに詰めて帰る覚悟はできました。

いざ、台湾へ——懐かしさと未知が交差する、人生イベント級の帰省スタート!

EVA AIRの飛行機

ニューヨーク・JFKを深夜1時半発。選ばれし者だけが搭乗できる(気がする)エバー航空・直行便——ここから始まります、名付けて「時空跳躍ミッション:NY → 台湾」

フライト時間は約15時間。眠らない街NYをそっと背に、機内という名のカプセルに身を預けた瞬間、地球の裏側へ静かにワープ。映画を観て、うたた寝して、機内食に一喜一憂しているうちに、時間の感覚は完全にバグります。

このロングフライトさえ乗り越えれば——目覚めた窓の外には、35年ぶりに踏みしめる故郷・台湾(TPE)の朝の光。「え、もう着いたの?」と脳が追いつかない頃、心だけはすでに到着済み。

眠っている間に、過去と未来が一本の航路で繋がる。これはただの移動じゃない。期待と興奮を抱えて時代を越える、空の冒険譚なのです。

長丁場フライトに備え、機内の自席はすでに「究極の快適コマンドセンター」へと変貌しました。

まずは長旅の生命線、ネックピロー要塞を展開。そこへノイズキャンセリングヘッドホンを装着し、赤子の泣き声もエンジン音も無効化する——静寂の結界、発動。

さらに投入されたのが、15時間という概念そのものを消し去る「時間消滅デバイス三種の神器」。ノートPC、タブレット、そして切り札の Nintendo Switch。これで映画も仕事もゲームも、逃げ場なしです。

準備は完璧。隙はゼロ。あとはシートベルトを締め、機内食に一喜一憂しながら時間を溶かすだけ。

NY時間、深夜4時の機内食

退屈という名の長距離フライト。その砂漠に、ニューヨーク時間・深夜4時、突如として現れる唯一のオアシス——そう、機内食タイムです。

選択肢は二択。「中華風ポーク」か、「洋食のミートスパゲッティ」。眠気で判断力がほぼゼロの中でも、手は自然と前者へ。中華風ポーク、即決。(誰がブタだっ!)

正直、深夜4時。お腹はまったく空いていません。それでもこの異空間・高度1万メートルで食べるポークは、なぜか別格。機内の静けさと相まって、妙にうまい。悔しいけどうまい。

気づけば完食。眠気は増したけど、台湾到着へのモチベーションはしっかり満タン。深夜の機内食——それは胃袋より先に、心を台湾へ近づける儀式なのでした。

飛行機のトイレで撮影

約15時間のフライト。興奮が勝ちすぎて、まったく眠れない。羊を数える前に、脳が全力疾走です。

仕方なく始まったのが、退屈殲滅作戦。ノートPCで作業、タブレットで動画、Nintendo Switchでゲーム——「よし、時間を潰すぞ」と思ったその瞬間、罠はすでに発動していました。気づけば画面凝視、指フル稼働。暇は消えたが、体力も一緒に消滅。これは暇つぶしではない、セルフ体力削りプレイです。

まだまだ続く空の旅。なのに体力ゲージは黄色どころか、もう赤点滅。「え、ここで詰む?台湾着く前にゲームオーバー?」と、謎の危機感が押し寄せます。

こうしてフライトは、ただの移動から一転。退屈と戦うはずが、体力と戦うことになる“空のサバイバルミッション”へ。目的地は台湾、だが最大の敵は——自分でした。

台北に到着3時間前の機内食

フライト残り3時間。ついに訪れました、第2回・機内食イベント。ゴールが視界に入った今、ここはもう前哨戦です。

到着前から心を台湾にワープさせるべく、選択したのは「中華風・鶏肉のおかゆ」
迷い?ありません。台湾モード、即オン。

正直に言うと、そこまでお腹は空いていない。……はずだったのに、一口目で裏切られる
「あれ?レベル高くない?」気づけばスプーンが止まらない不思議現象。

そういえば最初の機内食も妙にうまかった。どうやらエバー航空、機内食の本気度が高い
疲弊した体に追い打ちをかけるように、今回もしっかり完食。湯気立つおかゆの温かさが胃に染みるころ、「もうすぐ台湾だな…」という実感が、じわっと胸に広がります。

空の上で味わう一杯のおかゆ。それは栄養補給であり、故郷へのカウントダウンでもありました。

ついに——台湾時間・朝7時。桃園国際空港、到着。帰ってきたぞ台湾!……と言いたいところですが、フライトはまさかの16時間。機内での睡眠はほぼゼロ。

体力ゲージは完全に緊急アラート点灯中、もはや赤点滅どころか「要救助」。ここから台湾での一日が始まると考えた瞬間、正直、視界が一瞬フェードアウトしました。

「え、今から行動するの?」という脳内会議が開催されるレベルの疲労感。——しかし。そのすべてを一瞬で吹き飛ばしたのが、「台湾に着いた!!」という爆発的な実感。疲れ?何それ?今の私を動かしているのは、睡眠でも栄養でもない。純度100%のアドレナリンです。

時差ボケ?関係なし。体力?後で考える。気持ちだけはフルスロットル。

こうして、理性を置き去りにし、興奮だけを燃料に——35年ぶりの故郷での、長くて濃い一日がついにスタート!

桃園国際空港に到着して、入国審査へ向かう前に発動した最初の極秘ミッション。それは——台湾では全面NGなアイテムとの静かな別れです。ここで余計なイベントを発生させるわけにはいかない。心を鬼にしてリセット完了。身も荷物もクリーン100%、いざ入国審査へ。

……ところが。

なぜか私、やたらと詳しくチェックされる側の人間だったらしく、審査官の視線は鋭く、質問は細かく、雰囲気はほぼ尋問モード。一瞬、「え、ここが最終ボス?」と背中に冷や汗が走ります。

しかし、数分後——無事通過!スタンプが押された瞬間、脳内でファンファーレが鳴りました。最大の関門、クリア。

……と安心したのも束の間。次に待ち受けているのは、「Vapeなしで過ごす台湾滞在」という長期戦

入国はできた。だが禁断症状という名の隠しボスが、もうそこまで来ている——。35年ぶりの故郷で始まるのは、再会の旅か、それとも自分との戦いか。