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ジェミラ(Djemila) |
ジェミラ(Djemila)は、アルジェリア北部にある古代ローマ時代の遺跡 で、保存状態の良いローマ都市遺構として知られています。標高約900mの山岳地帯に位置し、ローマ時代の都市計画がそのまま残されているため、「美しきローマの町」とも呼ばれています。1982年にユネスコ世界遺産(文化遺産) に登録されました。
歴史
- 1世紀末(紀元96年〜98年):ローマ皇帝ネルウァの時代に植民都市「クイキリウム(Cuicul)」として建設。
- 2世紀〜3世紀:トラヤヌス帝やセプティミウス・セウェルス帝の統治下で発展。
- 4世紀以降:キリスト教が広まり、多くの教会が建設される。
- 6世紀:ローマ帝国の衰退とともに放棄され、徐々に廃墟化。
- 19世紀:フランス植民地時代に発掘が進み、遺跡の保存が始まる。
特徴
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ローマ都市の遺構がほぼ完全な形で残る
- 劇場(アンフィテアトルム):約3,000人収容の円形劇場。
- フォルム(公共広場):都市の中心に位置し、政治・商業の拠点。
- 浴場(テルマエ):ローマの生活文化を示す施設。
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キリスト教建築の遺産
- 4世紀以降、ローマ都市はキリスト教化され、大聖堂やバプティステリウム(洗礼堂) などが建設された。
- これにより、ジェミラはローマとキリスト教文化の融合 を示す貴重な遺跡となっている。
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モザイク装飾の美しさ
- 住宅や公共施設には、ローマ神話や日常生活を描いた精巧なモザイク画 が残されている。
- これらはジェミラ博物館 に保存・展示されている。
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山岳地帯に築かれたローマ都市
- ローマ帝国の都市は通常平地に建設されるが、ジェミラは山岳地帯に築かれており、地形に適応した都市計画 が施されている点が特徴。
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劇場(アンフィテアトルム) |
現在の状況
- 遺跡の保存状態は比較的良好 で、発掘・修復が進められている。
- 観光地としても人気 で、特にローマ建築やモザイク芸術に興味のある人々に注目されている。
- 気候変動や風化の影響 により、一部の遺構の損傷が進んでいるため、保護対策が必要とされている。
アクセス
- 所在地:アルジェリア北部、セティフ県
- 最寄り都市:セティフ(Sétif)から約50km(車で約1時間)
- 入場料:約200〜500アルジェリア・ディナール(数百円程度)
まとめ
ジェミラは、ローマ帝国の都市計画とキリスト教建築が融合した貴重な遺跡 であり、保存状態が良いためローマ時代の暮らしを知る上で重要な場所です。山岳地帯に築かれた独特の都市構造や、美しいモザイク装飾が見どころで、アルジェリアを代表する歴史遺産の一つとなっています。
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