2025年2月7日金曜日

世界遺産:バーミヤン渓谷の文化的景観と古代遺跡群(Cultural Landscape and Archaeological Remains of the Bamiyan Valley)ー アフガニスタン

 

バーミヤン渓谷(Bamiyan Valley)

バーミヤン渓谷(Bamiyan Valley)は、アフガニスタン中部 に位置する歴史的な遺跡群が広がる地域で、古代の仏教文化とシルクロード交易の中心地として知られています。特に、かつて存在したバーミヤン大仏(Buddhas of Bamiyan) は世界的に有名でしたが、2001年にタリバンによって破壊されました。現在でも多くの仏教遺跡が残り、2003年にユネスコ世界遺産(文化遺産) に登録されると同時に、「危機遺産リスト」にも掲載されています。

現在のバーミヤン大仏跡

歴史

  • 紀元前3世紀:マウリヤ朝(インド)によって仏教が伝えられる。
  • 5~9世紀:バーミヤンは仏教の中心地として繁栄し、巨大な仏像や僧院が建設される。
  • 9~10世紀:イスラム勢力の拡大により仏教文化が衰退。
  • 13世紀:モンゴル軍(チンギス・ハン)によって破壊される。
  • 19~20世紀:探検家や考古学者によって遺跡が再発見される。
  • 2001年:タリバン政権によってバーミヤン大仏が爆破される
  • 2003年:世界遺産に登録されるが、同時に「危機遺産リスト」に追加。

バーミヤン大仏(爆破前)

特徴

  1. バーミヤン大仏(Buddhas of Bamiyan)

    • 高さ55メートル(東の大仏)、38メートル(西の大仏) の2体の巨大仏像があった。
    • 6世紀にガンダーラ様式で彫られ、色彩豊かな装飾が施されていた。
    • 2001年にタリバン政権が爆破 し、現在は空洞のみが残る。
  2. 仏教僧院の洞窟群

    • バーミヤンの崖には数百の洞窟があり、僧侶たちが生活し、修行していた。
    • 壁画や彫刻が残るが、多くは風化や盗掘で損傷。
    • 世界最古の油絵(西暦650年頃)が発見されている。
  3. シャフリ・ゾハク(Shahr-e Zohak)

    • バーミヤン渓谷の入り口にある要塞で、「赤い城」とも呼ばれる。
    • イスラム時代に建設され、バーミヤンを防衛する拠点だった。
  4. シャフリ・ゴルゴラ(Shahr-e Gholghola)

    • 13世紀にモンゴル軍によって破壊された城塞都市
    • 叫びの町」という意味があり、住民が虐殺された悲劇の地とされる。
  5. シルクロードの交差点

    • インド、中国、ペルシャ、中央アジアを結ぶ交易の要所であり、仏教文化の伝播に大きな役割を果たした。
    • 異文化交流の中心として、多様な建築や美術が生まれた。

シャフリ・ゴルゴラ(Shahr-e Gholghola)

現在の状況

  • バーミヤン大仏の復元計画 はあるが、資金や安全保障の問題で進展していない。
  • 洞窟壁画の保護活動 はユネスコや各国の支援で進められているが、環境劣化が深刻。
  • タリバン政権の影響 により、観光や保護活動に制約がある。

アクセス

  • 所在地:アフガニスタン・バーミヤン州
  • 最寄り都市:カブール(Kabul)から約180km(飛行機または車で約5~8時間)
  • 入場料:現在は政情不安のため要確認

シャフリ・ゾハク(Shahr-e Zohak)

まとめ

バーミヤン渓谷は、仏教文化の繁栄を示す貴重な遺産であり、シルクロードの歴史的な要所でした。しかし、タリバンによる破壊や戦争の影響で多くの遺産が失われ、現在も危機遺産として保護が求められています。それでも、洞窟壁画や要塞遺跡など、多くの文化財が残されており、世界的に重要な歴史的景観の一つです。


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