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アブ・メナ(Abu Mena) |
アブ・メナ(Abu Mena, أبو مينا)は、エジプト北部にある初期キリスト教の巡礼地の遺跡 で、4世紀から7世紀にかけて栄えたキリスト教都市 です。エジプトで最も重要なキリスト教遺跡の一つであり、1979年にユネスコ世界遺産(文化遺産) に登録されました。しかし、地盤の問題により2001年から危機遺産リスト に登録されています。
歴史
- 3世紀:ローマ帝国の兵士で殉教者とされた聖メナス(Saint Menas) の墓が作られる。
- 4世紀:コンスタンティヌス帝の治世下で、聖メナスの遺体の上に教会が建てられる。
- 5~6世紀:修道院、大聖堂、浴場、貯水槽などが整備され、キリスト教の巡礼地として繁栄。
- 7世紀:アラブの侵攻により徐々に衰退し、最終的に放棄される。
- 20世紀:発掘が進み、巡礼都市の遺構が明らかになる。
特徴
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キリスト教巡礼地としての重要性
- 聖メナスの墓を中心に、大聖堂、バシリカ、修道院、浴場が広がる。
- 当時の巡礼者は「メナスのフラスコ(Menas Flasks)」と呼ばれる陶器を持ち帰った(各地で発見されている)。
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優れた初期キリスト教建築
- バシリカ様式の大聖堂:5世紀に建設され、巨大なアーチと柱が特徴。
- 公衆浴場(ローマ式):巡礼者のための温泉施設。
- 住居跡や巡礼者用の宿泊施設も発見 されている。
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危機遺産としての課題
- 地下水位の上昇による地盤沈下が深刻。
- 遺跡の保存が難しく、一部は崩壊の危険があるため観光客の立ち入りが制限されることもある。
現在の状況
- 遺跡の崩壊が進んでおり、ユネスコとエジプト政府が保存対策を検討中。
- 巡礼地としての歴史的価値は高いが、観光地としての開発は進んでいない。
- 考古学的研究は続いているが、保護対策の進展が求められている。
アクセス
- 所在地:エジプト北部(アレクサンドリアの南西約45km)
- 最寄り都市:アレクサンドリア
- 入場:保護のため、一部エリアの立ち入りが制限されることがある。
まとめ
アブ・メナは、初期キリスト教の巡礼地として重要な遺跡であり、大聖堂や修道院などの宗教施設が集まったキリスト教都市の代表例 です。しかし、地盤沈下と地下水の上昇により保存が難しく、危機遺産としての課題に直面している ため、今後の保護活動が鍵となる世界遺産の一つです。
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