2025年2月7日金曜日

世界遺産:ヴァルカモニカの岩絵群(Rock Drawings of Valcamonica)ー イタリア

 

ヴァルカモニカの岩絵群(Incisioni Rupestri della Valcamonica)

ヴァルカモニカの岩絵群(Incisioni Rupestri della Valcamonica)は、イタリア北部ロンバルディア州 にある先史時代の岩絵群で、ヨーロッパ最大級の岩絵遺跡の一つです。約 15,000点以上 の岩絵が発見されており、1979年にイタリア初のユネスコ世界遺産(文化遺産) に登録されました。これらの岩絵は、旧石器時代から鉄器時代にかけて刻まれ、人類の文化や社会の発展を記録する貴重な資料となっています。

歴史

  • 紀元前8,000年頃(旧石器時代):最初の岩絵が描かれる。
  • 紀元前4,000年頃(新石器時代):農耕や牧畜の始まりを示す岩絵が増加。
  • 紀元前2,500年~紀元前1,000年(青銅器時代):武器や戦士を描いた岩絵が増え、社会の発展を反映。
  • 紀元前500年(鉄器時代):ケルト系の カモニ族(Camuni) が支配し、宗教的なシンボルや儀式の様子が描かれる。
  • ローマ時代以降:岩絵の制作は次第に減少するが、カモニ族の文化はローマ帝国に取り込まれる。

特徴

  1. ヨーロッパ最古級の岩絵

    • 先史時代から鉄器時代までの 約8,000年の歴史 を記録する貴重な遺産。
    • 狩猟、戦闘、宗教儀式、動物、幾何学模様など多様なモチーフが描かれている。
  2. カモニ族の文化

    • カモニ族は鉄器時代にこの地域で繁栄した民族で、戦士や神話のモチーフが多く描かれている。
    • 岩絵には、太陽神を象徴する円形模様や、人々が手を広げた姿などが見られる。
  3. 代表的な岩絵のテーマ

    • 狩猟シーン:鹿やイノシシを弓矢で狩る様子。
    • 戦士と武器:剣や盾を持つ人物の図像。
    • 宗教的な儀式:踊る人々や祭壇のような構造物。
    • 車輪と馬車:青銅器時代における技術の進歩を示す。
  4. 主要な岩絵群のエリア

    • カピティオーロ・ディ・ナイポ(Capo di Ponte):最も有名な岩絵が集まる地域。
    • ナウロ(Naquane):考古学公園があり、多くの観光客が訪れる。
    • チェマモリーノ(Cemmo):神聖な儀式の場と考えられる岩絵がある。

現在の状況

  • 文化遺産として保護されており、観光客向けの考古学公園が整備されている。
  • 気候変動や風化による損傷が懸念されており、保存活動が進められている。
  • 一部の岩絵はデジタル技術を用いた記録保存が行われている。

アクセス

  • 所在地:イタリア・ロンバルディア州、ヴァルカモニカ渓谷
  • 最寄り都市:ブレシア(Brescia)から車で約1時間半
  • 入場料:一部の考古学公園は有料(約6〜10ユーロ)

まとめ

ヴァルカモニカの岩絵群は、ヨーロッパ最古級の岩絵が残る貴重な先史時代の遺跡であり、当時の人々の生活や宗教観、技術の発展を知ることができる重要な文化財です。イタリアの歴史的遺産の中でも特にユニークな存在であり、考古学や先史時代の文化に興味のある人には必見のスポットです。


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