![]() |
パナマのカリブ海側の要塞群(Fortifications on the Caribbean Side of Panama) |
パナマのカリブ海側の要塞群は、スペイン植民地時代(17~18世紀)に建設された防衛施設 で、特にポルトベロ(Portobelo)とサン・ロレンソ(San Lorenzo)の要塞が重要視されています。これらは、スペインのアメリカ大陸からヨーロッパへの貴金属輸送ルートを守るため に築かれました。1980年にユネスコ世界遺産(文化遺産) に登録されました。
歴史
- 16世紀後半:スペインはアメリカ大陸の金や銀をヨーロッパへ運ぶため、カリブ海沿岸に要塞を建設。
- 1597年:ポルトベロ要塞が建設され、スペインの主要な貿易港となる。
- 17世紀:イギリスやフランスの海賊(フランシス・ドレーク、ヘンリー・モーガンなど)による攻撃を受ける。
- 1680年:サン・ロレンソ要塞が拡張され、カリブ海防衛の拠点となる。
- 1739年:イギリス軍によってポルトベロが占領されるが、その後スペインが奪還。
- 20世紀以降:要塞群は歴史遺産として保存され、観光地となる。
特徴
-
ポルトベロ要塞群(Fortifications of Portobelo)
- スペインの金銀輸送の要所 であり、防御のための砲台や城壁が築かれた。
- 要塞跡には砲台や石造りの建物が残り、スペイン植民地時代の軍事建築を今に伝える。
- 近くには「カサ・レアル・デ・アドゥアナス(王立税関)」やサン・フェリペ教会 などの歴史的建築物もある。
-
サン・ロレンソ要塞(Fort San Lorenzo)
- チャグレス川(Chagres River)の河口に位置し、内陸の通商ルートを防御する重要拠点。
- 崖の上に築かれた堅牢な要塞 で、カリブ海を見渡せる戦略的な立地。
- 18世紀に現在の石造りの要塞が建設され、火薬庫や兵舎が残る。
-
スペイン植民地時代の軍事建築の傑作
- スペインの**「アントニオ・デ・アレバロ」** による要塞設計が特徴。
- 防御のための厚い城壁、大砲、見張り台 などが残り、当時の軍事戦略を今に伝える。
![]() |
サン・ロレンソ要塞(Fort San Lorenzo) |
現在の状況
- 保存状態が悪化し、劣化が進行中。(特にポルトベロ要塞)
- 2012年に危機遺産リストに登録(保存修復の必要性が指摘される)。
- 観光地として一般公開 され、歴史ツアーが開催。
アクセス
- 所在地:パナマ・コロン県(カリブ海沿岸)
- 最寄り都市:コロン(Colón)から車で約1時間
- 入場料:無料または数ドル程度(ガイド付きツアーは別料金)
まとめ
パナマのカリブ海側の要塞群は、スペイン帝国の交易と防衛を象徴する歴史的遺産 であり、当時の軍事技術や海賊との戦いの歴史を伝えています。現在、保存修復が課題となっており、観光地としての価値も高まっています。
0 件のコメント:
コメントを投稿