2025年2月16日日曜日

世界遺産:パナマのカリブ海側の要塞群(Fortifications on the Caribbean Side of Panama)ー パナマ

 

パナマのカリブ海側の要塞群(Fortifications on the Caribbean Side of Panama)

パナマのカリブ海側の要塞群は、スペイン植民地時代(17~18世紀)に建設された防衛施設 で、特にポルトベロ(Portobelo)とサン・ロレンソ(San Lorenzo)の要塞が重要視されています。これらは、スペインのアメリカ大陸からヨーロッパへの貴金属輸送ルートを守るため に築かれました。1980年にユネスコ世界遺産(文化遺産) に登録されました。

歴史

  • 16世紀後半:スペインはアメリカ大陸の金や銀をヨーロッパへ運ぶため、カリブ海沿岸に要塞を建設。
  • 1597年:ポルトベロ要塞が建設され、スペインの主要な貿易港となる。
  • 17世紀:イギリスやフランスの海賊(フランシス・ドレーク、ヘンリー・モーガンなど)による攻撃を受ける。
  • 1680年:サン・ロレンソ要塞が拡張され、カリブ海防衛の拠点となる。
  • 1739年:イギリス軍によってポルトベロが占領されるが、その後スペインが奪還。
  • 20世紀以降:要塞群は歴史遺産として保存され、観光地となる。

特徴

  1. ポルトベロ要塞群(Fortifications of Portobelo)

    • スペインの金銀輸送の要所 であり、防御のための砲台や城壁が築かれた。
    • 要塞跡には砲台や石造りの建物が残り、スペイン植民地時代の軍事建築を今に伝える。
    • 近くには「カサ・レアル・デ・アドゥアナス(王立税関)」やサン・フェリペ教会 などの歴史的建築物もある。
  2. サン・ロレンソ要塞(Fort San Lorenzo)

    • チャグレス川(Chagres River)の河口に位置し、内陸の通商ルートを防御する重要拠点。
    • 崖の上に築かれた堅牢な要塞 で、カリブ海を見渡せる戦略的な立地。
    • 18世紀に現在の石造りの要塞が建設され、火薬庫や兵舎が残る。
  3. スペイン植民地時代の軍事建築の傑作

    • スペインの**「アントニオ・デ・アレバロ」** による要塞設計が特徴。
    • 防御のための厚い城壁、大砲、見張り台 などが残り、当時の軍事戦略を今に伝える。

サン・ロレンソ要塞(Fort San Lorenzo)

現在の状況

  • 保存状態が悪化し、劣化が進行中。(特にポルトベロ要塞)
  • 2012年に危機遺産リストに登録(保存修復の必要性が指摘される)。
  • 観光地として一般公開 され、歴史ツアーが開催。

アクセス

  • 所在地:パナマ・コロン県(カリブ海沿岸)
  • 最寄り都市:コロン(Colón)から車で約1時間
  • 入場料:無料または数ドル程度(ガイド付きツアーは別料金)

まとめ

パナマのカリブ海側の要塞群は、スペイン帝国の交易と防衛を象徴する歴史的遺産 であり、当時の軍事技術や海賊との戦いの歴史を伝えています。現在、保存修復が課題となっており、観光地としての価値も高まっています。


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