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イヴァノヴォの岩窟教会群(Rock-Hewn Churches of Ivanovo) |
イヴァノヴォの岩窟教会群(Rock-Hewn Churches of Ivanovo, Ивановски скални църкви)は、ブルガリア北東部のルセ州にある、岩をくり抜いて作られた中世の正教会の修道院群 です。12世紀から14世紀にかけて建設され、ブルガリア正教の修道士たちが住み、信仰を深める場として栄えました。特に、岩窟内に描かれた美しいフレスコ画 が高く評価され、1979年にユネスコ世界遺産(文化遺産) に登録されました。
歴史
- 12世紀末:第二次ブルガリア帝国時代に修道士たちがこの地に移り住み、岩窟に教会や修道院を築く。
- 13世紀~14世紀:最盛期を迎え、ブルガリア正教の聖地として栄える。特にイヴァン・アレクサンダル王の庇護 を受け、多くのフレスコ画が描かれる。
- 15世紀以降:オスマン帝国の支配下で衰退し、修道士の数が減少。
- 20世紀:考古学的発掘と修復が進み、世界遺産に登録。
特徴
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岩をくり抜いて作られた教会と修道院
- 断崖の上部や内部に掘られた約40の岩窟教会や修道院 が点在。
- 岩の中に通路があり、修道士たちが瞑想や祈りを行っていた。
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中世ブルガリア美術の傑作「フレスコ画」
- 最も有名なのは**「聖母マリア礼拝堂」**(主教の礼拝堂)に描かれたフレスコ画。
- 13世紀~14世紀に描かれたもので、ブルガリア正教美術の中でも最高峰とされる。
- ビザンティン様式の影響を受けつつ、独自の表現 が見られる。
- 「最後の晩餐」や「キリストの昇天」などの聖書の場面が鮮やかに描かれている。
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自然と一体化した修道院群
- ルセンスキー・ロム川の渓谷に位置し、壮大な自然と調和。
- 断崖に築かれた建築群は、訪れる人々に神秘的な印象を与える。
現在の状況
- 観光地として一般公開 されており、フレスコ画が見学可能。
- 保存作業が継続 され、風化を防ぐための修復が進められている。
- ブルガリア正教の信仰の場 としても重要視されている。
アクセス
- 所在地:ブルガリア北東部・ルセ州(ルセ市から約20km)
- 最寄り都市:ルセ(Ruse)から車で約30分
- 入場料:約5~10ブルガリアレフ(約300~600円)
まとめ
イヴァノヴォの岩窟教会群は、中世ブルガリア正教の精神性と芸術性を象徴する遺産 であり、特にフレスコ画の美しさは世界的に高く評価されています。自然と一体化したこの修道院群は、訪れる人々に静寂と歴史の深みを感じさせる、ブルガリアを代表する世界遺産の一つです。
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