2025年2月7日金曜日

世界遺産:シバームの旧城壁都市(Old Walled City of Shibam)ー イエメン

シバームの旧城壁都市(Old Walled City of Shibam)

シバーム(Shibam)は、イエメンのハドラマウト州 にある歴史的な都市で、「砂漠のマンハッタン」「世界最古の高層都市」 として知られています。16世紀ごろに発展し、高さ30メートル以上の泥レンガ造りの高層建築 が密集するユニークな都市景観を持っています。1982年にユネスコ世界遺産(文化遺産) に登録されました。

歴史

  • 紀元前3世紀頃:この地域に定住が始まり、交易都市として発展。
  • 8世紀~10世紀:アラビア半島の香料貿易の中心地として栄える。
  • 16世紀:オスマン帝国の影響下で、現在のような高層建築の都市が形成される。
  • 20世紀以降:近代化とともに人口が流出し、一部の建築が荒廃。
  • 2008年:洪水被害により「危機遺産リスト」に登録される。
  • 2015年:イエメン内戦の影響で建築の一部が損壊し、保護が困難に。

特徴

  1. 世界最古の高層建築都市

    • 泥レンガ(アドベ)で作られた高層ビル群が並ぶ。
    • 建物の高さは 5〜11階建て(約30メートル) に達し、世界最古の超高層都市とされる。
    • 建築技術は代々受け継がれ、住民が定期的にメンテナンスを行う。
  2. 城壁に囲まれた要塞都市

    • 都市全体が城壁(壁に囲まれた要塞都市) 内にあり、外敵の侵入から守られていた。
    • 戦乱や砂漠の過酷な環境から住民を守るための構造。
  3. 伝統的なアラブ・イスラム建築

    • 狭い路地が交差し、風通しを考えた建築デザイン。
    • 建物には装飾窓や木製のバルコニーがあり、イスラム文化の影響 が見られる。
  4. 交易都市としての役割

    • シバームは古くから 「乳香貿易」 の中心地として繁栄。
    • シルクロードとインド洋交易の重要な中継地点だった。

現在の状況

  • 洪水と戦争による被害:2008年の洪水、2015年のイエメン内戦で都市の一部が損壊。
  • 観光の減少:政情不安により訪問が困難になり、保全活動の継続が難しくなっている。
  • ユネスコと地元住民の修復活動:保存修復が進められているが、資金不足が課題。

アクセス

  • 所在地:イエメン・ハドラマウト州
  • 最寄り都市:セイユーン(Seiyun)から車で約30分
  • 入場料:現在は政情不安のため要確認

まとめ

シバームは、世界最古の高層建築都市 として、アラビア半島の歴史と文化を象徴する貴重な遺産です。しかし、自然災害や内戦による破壊が深刻で、現在は「危機遺産リスト」に登録され、保護活動が求められています。砂漠の中にそびえ立つこのユニークな都市は、世界遺産の中でも特に注目すべき歴史的景観を持っています。


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