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ミストラス(Mystras) |
ミストラス(Mystras, Μυστράς)は、ギリシャ南部ペロポネソス半島にある中世のビザンティン帝国の要塞都市遺跡 で、13世紀に建設されました。14世紀にはビザンティン帝国の有力な政治・文化の中心地 となり、ルネサンス期の思想や芸術にも影響を与えました。1989年にユネスコ世界遺産(文化遺産) に登録されました。
歴史
- 1249年:フランスのラテン帝国支配下で、ウィリアム2世・ド・ヴィルアルドゥアン によって要塞として建設。
- 1262年:ビザンティン帝国(パレオロゴス朝)の支配下に入り、ギリシャ正教会の文化・宗教の中心地となる。
- 14世紀:モレアス専制公国(ビザンティン帝国の属国) の首都として繁栄。
- 1460年:オスマン帝国に占領されるが、ギリシャ文化の中心地として存続。
- 19世紀:ギリシャ独立戦争後に衰退し、廃墟となる。
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ペリヴレプトス修道院(Monastery of Peribleptos) |
特徴
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ビザンティン帝国の要塞都市
- 山の斜面に築かれた城壁都市 で、防衛機能を持つ。
- 宮殿、修道院、教会、住宅跡が残り、中世ギリシャの都市構造を今に伝える。
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ビザンティン美術の傑作
- ペリヴレプトス修道院(Monastery of Peribleptos):内部には14世紀のフレスコ画が残る。
- アギオス・ディミトリオス教会(Metropolis of Mystras):14世紀に建立され、ビザンティン皇帝コンスタンティノス11世が戴冠した場所。
- パンタナサ修道院(Pantanassa Monastery):現在も修道女が暮らし、修道院として機能している。
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ギリシャ文化とルネサンスへの影響
- ギリシャ哲学者ゲミストス・プレトン がここで活動し、西欧ルネサンスに影響を与えた。
- ビザンティン帝国末期の知的・文化的中心地となり、多くの学者や芸術家が集まった。
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アギオス・ディミトリオス教会(Metropolis of Mystras) |
現在の状況
- 遺跡は観光地として整備され、教会や宮殿は修復されている。
- ビザンティン芸術や歴史に関心がある人々にとって重要な訪問地。
- パンタナサ修道院は現在も宗教施設として使用されている。
アクセス
- 所在地:ギリシャ・ペロポネソス半島(スパルタの近郊)
- 最寄り都市:スパルタから車で約10分
- 入場料:大人約12ユーロ
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パンタナサ修道院(Pantanassa Monastery) |
まとめ
ミストラスは、ビザンティン帝国末期の文化と建築が色濃く残る要塞都市遺跡 であり、中世ギリシャの歴史と芸術の発展を象徴する場所です。ビザンティン建築の教会や修道院が点在し、西欧ルネサンスにも影響を与えた知的拠点としての役割も果たしました。現在も遺跡の保存が進められ、ギリシャの重要な歴史遺産のひとつとなっています。