2025年4月13日日曜日

絵で見る「世界遺産」:イェリング墳墓群と記念碑群(Jelling Mounds, Runic Stones and Church)ー デンマーク

 

巨大な墳墓(マウンド)

イェリング墳墓群と記念碑群は、デンマーク・ユトランド半島にあるヴァイキング時代の王家の墳墓とルーン石碑、教会からなる歴史的遺産で、デンマーク王国の始まりを象徴する場所とされています。
**1994年にユネスコ世界遺産(文化遺産)**として登録されました。


ルーン石碑(Jelling Stones)

歴史的背景
  • 10世紀頃(ヴァイキング時代)、この地はデンマーク王家の権力基盤だった。

  • **ゴーム老王(Gorm the Old)とその子ハーラル青歯王(Harald Bluetooth)**が築いた記念碑が現存し、デンマーク最初のキリスト教国王による布教と国家統一の証となっている。

  • ハーラル王は、デンマークとノルウェーを統一し、キリスト教を導入した王として知られる。


イェリング教会(Jelling Church)

主な構成要素
  1. 2基の巨大な墳墓(マウンド)

    • ゴーム老王とその家族のためのものとされる。

    • 草に覆われた直径70メートル・高さ10メートルほどの円形墳墓。

    • 北欧古代の王族の葬送儀式を伝える重要な遺構。

  2. ルーン石碑(Jelling Stones)

    • ゴーム老王の碑:デンマークという国名が初めて刻まれた記録。

    • ハーラル青歯王の碑:デンマークとノルウェーを統一し、国をキリスト教に改宗させたことを記す。

    • 「デンマークの洗礼証明書」とも呼ばれ、デンマーク国家誕生の象徴とされる。

  3. イェリング教会(Jelling Church)

    • ルーン石碑のすぐ隣にある白い石造りの教会。

    • 現在の建物は12世紀のもので、先行する木造教会の跡が地下に残る。

    • 墳墓との関係から、王族の改宗とキリスト教布教の象徴とされる。


世界遺産としての価値

  • デンマーク王国の起源と国民意識の形成を示す歴史的証拠

  • 北欧ヴァイキング文化とキリスト教文化の転換期を示す貴重な遺産

  • 王権、宗教、国家アイデンティティの結びつきを表す象徴的空間



現在の保存状況

  • デンマーク政府により丁寧に整備・保護されており、**ビジターセンター「Kongernes Jelling(王たちのイェリング)」**が併設。

  • 墳墓の中には入れないが、最新の展示技術で王族の歴史やヴァイキング文化を学べる

  • ルーン石碑は、ガラスケースで保護されつつ、間近で見学可能



アクセス

  • 所在地:デンマーク・ユトランド半島中部、ヴィーラ(Vejle)近郊のイェリング村

  • 最寄り駅:Jelling駅(コペンハーゲンから電車で約3時間)

  • 徒歩圏内に主要遺産が集中しており、散策しながら見学できる


ビジターセンター「Kongernes Jelling(王たちのイェリング)

まとめ

イェリングの墳墓群と記念碑は、「デンマーク国家の誕生」を象徴する聖地です。
古代ヴァイキング王朝の権威と、キリスト教国家への移行という大きな歴史の転換点を物語るこの場所は、北欧文化・政治・宗教のルーツに触れることができる貴重な世界遺産です。




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