2025年4月10日木曜日

絵で見る「世界遺産」:エバーグレーズ国立公園(Everglades National Park)ー アメリカ

エバーグレーズ国立公園(Everglades National Park)

**エバーグレーズ国立公園(Everglades National Park)**は、アメリカ合衆国フロリダ州南部に位置する広大な湿地帯の国立公園で、希少な動植物の宝庫であり、淡水と海水が交じり合う独特なエコシステムを持つ世界的に重要な自然環境です。

1947年にアメリカの国立公園に指定され、1979年にはユネスコ世界遺産(自然遺産)に登録されました。また、生物圏保護区、ラムサール条約登録湿地にも指定されており、三重の国際保護指定を受けています。


特徴と自然環境

  • 面積:約6,000㎢(東京都のおよそ3倍)に及ぶ大湿地帯

  • 地形と気候:ほぼ平坦な地形に、ゆっくりと流れる「草の川(River of Grass)」が形成されている

  • 生態系の多様性

    • 淡水湿地、マングローブ林、沿岸干潟、松林などがモザイク状に広がる

    • 多様な生物種の生息地として、北米でも特に重要な自然地域とされている


アメリカワニ(American Crocodile)

生息する主な動植物

  • アメリカワニ(American Crocodile):世界的にも珍しい汽水域に生息するワニ

  • フロリダパンサー(Florida Panther):絶滅危惧種の野生ネコ科動物

  • マナティー(Manatee):草食性の海生哺乳類

  • セジロコサギやピンクのローズート・スプーンビルなどの水鳥類

  • オオヤマネコ、アライグマ、蛇(アナコンダ、パイソン類)なども生息


マングローブ林

世界遺産としての価値

  • 亜熱帯地域における最大規模の自然湿地生態系

  • 地球規模で見ても貴重な汽水湿地とマングローブ林

  • 多数の絶滅危惧種・固有種の生息地

  • 淡水と海水の混在によって育まれる複雑な生物多様性


保全の課題と「危機遺産」登録

  • 1980年代以降、都市開発、水路改変、農業排水、外来種(ニシキヘビ)などによる環境劣化が深刻化

  • 一時は水質悪化と動植物の減少が顕著となり、1993年と2010年に「危機にさらされている世界遺産」に登録

  • 現在もアメリカ政府と環境保護団体が、エコシステム回復のための大規模な水循環修復プロジェクトを進行中

エアボート・ツアー

観光と体験

  • エアボート・ツアー:湿地帯を高速で滑走しながらワニや野鳥を観察できる人気アクティビティ

  • カヤック/カヌー:静かなマングローブ水路をゆったり進み、自然を間近で体感

  • トレイルと展望台:アニンガ・トレイル、ガムボ・リム・トレイルなどのハイキングコースが整備

  • 野鳥観察、星空観察、キャンプも可能


アクセス

  • 所在地:アメリカ・フロリダ州南部

  • 最寄り都市:マイアミから車で約1時間(南東入口:ホモステッド方面)

  • 主なビジターセンター:アーニスト・F・コー、シャークバレー、フレーミングゴー、ガルフ・コースト


まとめ

エバーグレーズ国立公園は、「草の川」と呼ばれる広大な湿地が育む独自の生態系と、貴重な野生動物たちが共存する自然の宝庫です。人間活動の影響を受けながらも、環境回復に向けた取り組みが続けられており、地球規模の自然保護と共生の重要性を伝える象徴的な世界遺産となっています。


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