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グウィネズのエドワード1世の城郭と市壁 |
**「グウィネズのエドワード1世の城郭と市壁」**は、13世紀末から14世紀初頭にかけてイングランド王エドワード1世がウェールズ北部(グウィネズ地方)に築いた防衛と支配のための城郭群と城下町の防衛施設です。
これらの城は、イギリス中世軍事建築の最高峰であり、戦略的・象徴的・政治的意義を兼ね備えた建築遺産として、**1986年にユネスコ世界遺産(文化遺産)**に登録されました。
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歴史的背景
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1282年:イングランド王エドワード1世がウェールズに侵攻し、ウェールズ公国を征服。
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征服後、反乱を抑え、支配を強化するために要塞都市(城と市壁)を各地に建設。
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設計はフランス人建築家マスター・ジェームズ・オブ・セント・ジョージによるもので、当時の最新軍事技術と壮麗な建築美が融合している。
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コンウィ城(Conwy Castle) |
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カーナーヴォン城(Caernarfon Castle)
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ローマ帝国風の八角形塔や城壁を持つ王室権威の象徴。
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城下町を囲む市壁とセットで建設され、エドワード1世の息子(後のエドワード2世)誕生の地でもある。
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現在もプリンス・オブ・ウェールズの戴冠式が行われる場所として知られる。
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コンウィ城(Conwy Castle)
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急峻な河畔に築かれた堅固な要塞。8つの巨大な塔が特徴的。
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城を取り囲む市壁も良好に保存され、中世の町の構造がそのまま残る貴重な例。
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ハーレフ城(Harlech Castle)
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海に面した断崖に建てられた、「天から降る城」と称される絶景の城。
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海上からの補給路「ウォーターゲート」も備え、戦略的にも重要だった。
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ビューマリス城(Beaumaris Castle)
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エドワード1世が晩年に着工したが未完に終わった“完璧な対称型要塞”。
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二重の城壁と水濠を持つ、中世要塞建築の究極形態とされる。
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ハーレフ城(Harlech Castle) |
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中世イングランドの軍事建築の最高峰
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幾何学的な設計、強固な防衛構造、象徴的な装飾性が融合
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城と市壁がセットで整備されており、「城下町による統治」のモデルケース
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設計者マスター・ジェームズの技術は、ヨーロッパ全体の城郭史にも影響を与えた
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ビューマリス城(Beaumaris Castle) |
世界遺産としての価値
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中世の征服・支配の具体的な戦略的建築物の例
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軍事的・政治的・象徴的意義を持った構造群
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保存状態が非常によく、現在でも町の景観に溶け込んでいる
現在の状況と観光
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各城郭は観光名所として整備されており、資料館や展望台、ガイドツアーなども充実。
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特にカーナーヴォンとコンウィは、街並みごと中世の雰囲気を今に残す人気スポット。
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ウェールズの雄大な自然とセットで楽しめるため、写真愛好家や歴史ファンにも人気。
アクセス
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所在地:イギリス・ウェールズ地方 北西部(グウィネズ)
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アクセス:ロンドンから鉄道で4〜5時間。マイカーやツアー利用もおすすめ。
まとめ
グウィネズのエドワード1世の城郭と市壁は、「中世の要塞都市はこうして築かれた」と教えてくれる歴史の教科書のような世界遺産です。
その壮麗さと堅牢さは、単なる防衛施設を超えた政治的メッセージと美意識の表れであり、イングランドによるウェールズ統治の象徴的な建築群として、現代にまでその重みを伝えています。
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