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ジェンネ大モスク(Great Mosque of Djenné) |
**ジェンネ(Djenné)**は、西アフリカ・マリ共和国のニジェール川支流バニ川近くに位置する古都であり、サハラ交易やイスラム文化の要衝として知られる都市です。特に、**日干し煉瓦(アドベ)で造られた壮大な「ジェンネ大モスク」**をはじめとする伝統的な建築群は、西アフリカ・スーダン様式建築の最高傑作とされています。
**1988年にユネスコ世界遺産(文化遺産)**に登録されました。
歴史
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紀元前250年頃:周辺に最初の集落が形成される。
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9世紀以降:サハラ交易の中継地として発展し、金や塩、象牙などの流通拠点に。
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13〜16世紀:トンブクトゥと並ぶイスラム学問の中心地として栄える。
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現在も続く住民の居住地域として、伝統的な生活様式が残されている。
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伝統的な住宅群 |
特徴と見どころ
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ジェンネ大モスク(Great Mosque of Djenné)
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世界最大の日干し煉瓦建築物で、1907年に再建されたもの。
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スーダン・サヘル建築様式の代表で、巨大なミナレット(尖塔)や木の梁(トローニ)が装飾的役割と構造補強を兼ねている。
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毎年、地域住民による泥の再塗装(再塗り替え)祭が行われる、独自の保存文化がある。
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伝統的な住宅群
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日干し煉瓦で築かれた住宅は、幾何学的な模様や彫刻で装飾され、土色の街並みが調和を保っている。
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屋上が生活空間として使われるなど、気候と文化に適応した設計。
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交易と学問の都市としての歴史
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ジェンネは、トンブクトゥと並ぶイスラム学問・宗教教育の拠点。
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コーラン学校(マドラサ)やスーク(市場)など、かつての繁栄の面影を残している。
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世界遺産としての価値
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西アフリカの伝統的都市建築の典型例としての重要性
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交易・宗教・学問の交流拠点としての歴史的役割
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日干し煉瓦建築の保存文化と住民による伝統継承
現在の状況と課題
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気候変動や洪水による建物の劣化が進行。
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住民の経済的困窮や近代建材の導入により、伝統的建築様式の維持が難しくなっている。
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武装勢力の活動や政情不安の影響で、観光と保全活動が制限されることも多い。
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そのため、「危機にさらされている世界遺産」リストにも登録されています。
アクセス
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所在地:マリ共和国 中央部、モプティ州
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最寄り都市:モプティ(車で数時間)
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※現在は治安状況により、外国人の訪問は大きく制限されています。
まとめ
ジェンネは、サハラ以南のイスラム都市文化とアフリカ伝統建築が融合した独自の都市景観を持つ世界遺産です。日干し煉瓦の建物と、その保存を支える地域コミュニティの文化は、世界的にも稀有で貴重なものです。現在は保全と安全確保が課題ですが、その歴史的・建築的価値は揺るぎないものです。
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