2025年3月17日月曜日

世界遺産:アープラヴァシ・ガート(Aapravasi Ghat)ー モーリシャス

アープラヴァシ・ガート(Aapravasi Ghat)は、モーリシャスの首都ポートルイスにある、19世紀のインド人契約労働者の移民センターの遺跡 です。イギリス政府が「自由労働システム」の下で契約労働者(クーリー)を受け入れた最初の公式移民施設であり、約50万人のインド人労働者がここを経由して世界中に移住しました。 こうした契約労働制度は、のちに世界各地のプランテーション経済に影響を与えました。2006年にユネスコ世界遺産(文化遺産) に登録されました。


歴史

  • 1834年:イギリスが奴隷制を廃止し、新たな労働力確保のため「契約労働者制度(Indentured Labour System)」を開始。
  • 1849年:モーリシャスにアープラヴァシ・ガートが設立され、インドからの契約労働者が到着。
  • 19世紀後半:契約労働者はモーリシャスだけでなく、アフリカ、カリブ海、フィジーなどへも移住。
  • 20世紀:契約労働制度が廃止され、多くのインド系移民がモーリシャス社会に定住。
  • 2006年:ユネスコ世界遺産に登録。

特徴

  1. インド洋地域における移民の歴史を象徴する遺産

    • 1834年以降、約50万人のインド人契約労働者がここを経由して各地に移住。
    • インド洋地域におけるプランテーション経済の発展と多文化社会の形成に寄与。
  2. 歴史的建築と遺構

    • 契約労働者が通過した施設(入国管理局、病院、宿泊所など)の遺構が残る。
    • 一部の建物は修復され、博物館として一般公開されている。
  3. 契約労働制度の発展とその影響

    • この制度は、のちにトリニダード・トバゴ、ジャマイカ、南アフリカ、フィジーなど世界各地に広がった。
    • モーリシャスの人口の約70%がインド系住民であり、そのルーツをたどる重要な場所。


現在の状況

  • 遺跡の一部は博物館として整備され、契約労働者の歴史を学ぶことができる。
  • 毎年11月2日には「移民記念日」として、インド系住民のルーツを祝う行事が行われる。
  • モーリシャス政府とユネスコが共同で遺跡の保存・修復を進めている。

アクセス

  • 所在地:モーリシャス・ポートルイス
  • 最寄り空港:シウサガル・ラングーラム国際空港(車で約1時間)
  • 入場料:無料(博物館は一部有料)

まとめ

アープラヴァシ・ガートは、19世紀のインド人契約労働者の移民拠点として、プランテーション経済の発展と多文化社会の形成に重要な役割を果たした世界遺産 です。その歴史的意義は、モーリシャスだけでなく、インド洋地域全体に影響を与え、現在も多くの人々のルーツを示す貴重な遺産となっています。


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