2025年3月14日金曜日

世界遺産:バッサイのアポロン・エピクリオス神殿(Temple of Apollo Epicurius at Bassae)ー ギリシャ


バッサイのアポロン・エピクリオス神殿(Temple of Apollo Epicurius at Bassae, Ναός του Επικουρίου Απόλλωνα στις Βάσσες)は、ギリシャ南部ペロポネソス半島の山岳地帯にある古代ギリシャの神殿 で、紀元前5世紀後半に建設されました。ギリシャ建築の中でも特にユニークな特徴を持ち、1986年にギリシャで最初にユネスコ世界遺産(文化遺産) に登録された遺跡の一つです。


歴史

  • 紀元前5世紀後半:パルテノン神殿を設計したとされる建築家イクティノス(Iktinos)によって建設。
  • アポロン・エピクリオス(「救済者アポロン」)に捧げられた神殿。
  • 古代ギリシャ・ローマ時代:巡礼地として重要視される。
  • 19世紀:考古学的発掘が始まり、フリーズ(装飾帯)が発見される(現在は大英博物館に所蔵)。
  • 20世紀以降:保存・修復作業が進められる。

特徴

  1. ギリシャ建築の様式が融合

    • ドーリア式(外側の柱)イオニア式(内側の柱)コリント式(中央の柱) の3つの建築様式が融合。
    • コリント式の柱がギリシャ建築で最も早く使われた例とされる。
  2. 独特な方角の配置

    • ほとんどのギリシャ神殿が東西方向を向いているのに対し、バッサイの神殿は南北方向に建てられている。
    • この配置は、日の光が神殿の奥深くまで届くように設計されたためと考えられている。
  3. フリーズ(浮彫装飾)

    • アマゾン人との戦いやケンタウロスとの戦闘を描いた精巧なフリーズがあった。
    • 19世紀に発掘され、現在は大英博物館に展示されている。
  4. 保存のための巨大テント

    • 遺跡の風化を防ぐため、現在は巨大な白いテントで覆われている。
    • テントの内部では神殿の修復作業が続けられている。

現在の状況

  • アクセスしやすい観光地ではないが、考古学者や歴史愛好家に人気のスポット。
  • 保存のためのテントが設置されており、完全修復の計画が進められている。
  • ギリシャ建築の発展を知る上で重要な遺跡として、研究が続けられている。

アクセス

  • 所在地:ギリシャ・ペロポネソス半島(アルカディア地方)
  • 最寄り都市:カラマタ(車で約2時間)、アテネ(車で約3.5時間)
  • 入場料:約6~8ユーロ

まとめ

バッサイのアポロン・エピクリオス神殿は、ギリシャ建築の3つの様式が融合したユニークな神殿であり、独特の配置や歴史的背景が評価され、世界遺産に登録された 重要な遺跡です。現在は保護のためテントで覆われていますが、その壮麗な建築美と歴史的価値は訪れる人々を魅了し続けています。


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