2025年3月25日火曜日

世界遺産:コナーラクのスーリヤ寺院(Sun Temple, Konârak)ー インド

コナーラクのスーリヤ寺院(Sun Temple, Konârak)

スーリヤ寺院(スーリャ寺院、Sun Temple) は、インド東部オディシャ州コナーラクにある13世紀のヒンドゥー教寺院で、太陽神スーリヤを祀っています。寺院は巨大な太陽の戦車をかたどった建築で知られ、彫刻の精巧さや規模の大きさから、インド建築の頂点の一つと称されます。

1984年にユネスコ世界遺産(文化遺産) に登録されました。


歴史

  • 建設時期:13世紀中頃(1250年頃)

  • 創建者:東ガンガ朝の王、ナラシンハ・デーヴァ1世(King Narasimhadeva I)

  • 目的:太陽神スーリヤへの献納、および王朝の権威と栄光の象徴として建てられた

  • 後年:自然災害や侵略により大部分が崩壊。現在は主塔(シカラ)は失われているが、基壇や副殿などは良好に残っている。


建築と構造の特徴

  1. 太陽神の戦車を模したデザイン

    • 寺院全体が巨大な石造の戦車の形をしており、12対(合計24個)の巨大な石の車輪7頭の馬で引かれている構造。

    • 車輪は日時計としても機能するほど精密に作られている。

  2. 彫刻美術の極致

    • 外壁には神話、日常生活、踊り子、動物、戦闘場面、官能的な男女の姿などの彫刻がびっしりと施されている。

    • カーマ・スートラに基づく**官能的なモチーフ(エロティック・アート)**も多く見られ、カジュラーホ遺跡と並び称される。

  3. 宗教的・天文学的な意味

    • 建物の向きや装飾、構造は太陽の動き季節の変化と関係しており、天文学的な精密性を持つ神殿とも言われている。


文化的意義

  • スーリヤ信仰の中心地として、インド全土から巡礼者を集めてきた。

  • 建築技術・石彫技術・宗教芸術の融合を示す最高傑作であり、東インドの文化・宗教・科学の象徴。

  • ナヴァグラハ(九曜)信仰や、ヒンドゥー宇宙観とも深く関わっている。


現在の状況

  • 主塔(高さ約70m)は崩壊し現存しないが、舞踊堂(ナタ・マンディル)や副殿、車輪・馬の彫刻は良好に保存されている。

  • 考古学的調査・修復が続けられており、観光地・巡礼地としても人気。

  • インド政府・ユネスコによって保護活動が行われている。


アクセス

  • 所在地:インド・オディシャ州コナーラク(プリーから約35km)

  • 最寄りの都市:ブバネーシュワル(空港あり)

  • アクセス方法:プリーまたはブバネーシュワルからバス・タクシー


まとめ

コナーラクのスーリヤ寺院は、神話、芸術、科学が融合した13世紀インド建築の頂点とも言える存在です。太陽神を讃える戦車型の荘厳な構造と、彫刻の緻密さ、美しさは、今も多くの人々を魅了し続けています。宗教遺産としてだけでなく、世界の建築・美術史においても極めて重要な世界遺産です。


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