チキトスのイエズス会伝道所(Jesuit Missions of Chiquitos)は、ボリビア東部のサンタクルス県にある、17世紀から18世紀にかけてイエズス会によって建設されたキリスト教伝道所の遺跡群 です。ヨーロッパのバロック建築と先住民の伝統工芸が融合した独特の建築が特徴で、1990年にユネスコ世界遺産(文化遺産) に登録されました。
歴史
- 1691年:イエズス会の宣教師がチキトス族の地域に初めて伝道所を設立。
- 1696年~1760年:合計6つの伝道所が設立され、先住民と共にキリスト教文化を築く。
- 1767年:スペイン王カルロス3世によるイエズス会追放令 により、イエズス会士は追放される。
- 18~19世紀:伝道所の管理が変わるが、先住民によって教会が維持される。
- 20世紀:修復活動が始まり、伝道所の文化的価値が再評価される。
- 1990年:ユネスコ世界遺産に登録。
特徴
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6つの主要なイエズス会伝道所
- サン・フランシスコ・ハビエル(San Francisco Javier, 1691年設立)
- コンセプシオン(Concepción, 1708年設立)
- サン・ラファエル(San Rafael de Velasco, 1696年設立)
- サン・ホセ・デ・チキトス(San José de Chiquitos, 1698年設立)
- サン・ミゲル(San Miguel de Velasco, 1721年設立)
- サンタ・アナ(Santa Ana de Velasco, 1755年設立)
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独特の建築と芸術
- ヨーロッパのバロック様式と先住民の木造建築技術が融合。
- 木彫りの装飾や金箔を使った祭壇が特徴的。
- 教会内部には、先住民によって描かれた宗教画や彫刻が残る。
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先住民文化との融合
- 伝道所では、キリスト教の教えを伝えつつも、先住民の伝統工芸や音楽を尊重しながら布教が進められた。
- ヨーロッパのバロック音楽と先住民の音楽が融合した独自の宗教音楽が発展。
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現在も続く宗教と文化の遺産
- チキトス地方では現在もカトリック信仰と伝統音楽が受け継がれている。
- 2年ごとに「チキトス・ミッションズ・バロック音楽祭」が開催され、世界的な音楽イベントとなっている。
現在の状況
- 修復が進められ、観光地としても整備されている。
- ユネスコの保護のもと、教会と伝道所の維持活動が行われている。
- バロック音楽のフェスティバルや文化イベントが活発に行われている。
アクセス
- 所在地:ボリビア東部・サンタクルス県
- 最寄り都市:サンタクルス・デ・ラ・シエラ(車で4~8時間)
- 入場料:教会ごとに異なる(数ドル程度)
まとめ
チキトスのイエズス会伝道所は、ヨーロッパと先住民文化が融合したユニークな宗教遺産であり、現在もバロック音楽や宗教儀式が受け継がれる貴重な場所 です。美しい教会建築や伝統音楽を通じて、植民地時代の文化交流の歴史を今に伝えています。
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