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ポート・アーサー流刑地(Port Arthur, タスマニア) |
オーストラリアの囚人遺跡群(Australian Convict Sites)は、18~19世紀にイギリスがオーストラリアに送った流刑囚(コンヴィクト)の歴史を伝える11の遺跡群 で、当時の囚人労働と植民地開発の歴史を象徴する貴重な遺産です。これらの施設は、オーストラリアの発展に大きく貢献した囚人たちの生活や労働環境を今に伝えています。2010年にユネスコ世界遺産(文化遺産) に登録されました。
歴史
- 1788年:イギリスがオーストラリアを流刑地として利用開始(最初の植民地シドニー設立)。
- 18~19世紀:約16万人の囚人がイギリスからオーストラリアに送られ、インフラや都市開発に従事。
- 19世紀後半:囚人制度が廃止され、施設の多くが閉鎖。
- 20世紀以降:遺跡の保存と歴史研究が進む。
- 2010年:ユネスコ世界遺産に登録。
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ハイド・パーク・バラックス(Hyde Park Barracks, シドニー) |
構成遺産(主な11の遺跡)
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ポート・アーサー流刑地(Port Arthur, タスマニア)
- オーストラリア最大の流刑地跡で、過酷な労働と独房制度で悪名高い。
- 現在は観光地として刑務所跡や礼拝堂が公開されている。
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ハイド・パーク・バラックス(Hyde Park Barracks, シドニー)
- シドニー中心部にある囚人宿舎で、女性囚人や移民の施設としても利用された。
- 現在は博物館として公開。
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フリーマントル刑務所(Fremantle Prison, 西オーストラリア)
- イギリスから直接送られた囚人が収容され、囚人労働によって港湾開発が進められた。
- 20世紀まで刑務所として使用され、現在は観光施設。
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キングストンとアーサーズ・ヴェイル(Norfolk Island)
- ノーフォーク島の囚人施設で、流刑地の中でも特に過酷な環境だった。
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カスケード女性工場(Cascades Female Factory, タスマニア)
- 女性囚人専用の労働施設で、女性囚人の生活環境を知る重要な遺跡。
その他の遺跡:
- ダーリントン流刑地(Maria Island, タスマニア)
- コールズ湾石切場(Coal Mines, タスマニア)
- ブリッケンドン・ウーラーマン(Brickendon and Woolmers, タスマニア)
- コックトゥー島(Cockatoo Island, シドニー)
- オールド・グレート・ノースロード(Old Great North Road, ニューサウスウェールズ)
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フリーマントル刑務所(Fremantle Prison, 西オーストラリア) |
特徴
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囚人労働によるオーストラリアの発展
- 囚人たちは道路、橋、建築物などを建設し、植民地開発に大きく貢献。
- 労働は過酷であり、厳しい規則の下で行われた。
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過酷な囚人制度の実態
- 独房制度や厳しい労働条件が敷かれ、一部の流刑地は「地獄」とも呼ばれた。
- 女性囚人専用施設もあり、貧困女性や孤児も収容された。
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イギリス帝国の植民地政策を示す遺産
- オーストラリアが流刑地として利用された歴史を今に伝える重要な遺跡群。
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キングストンとアーサーズ・ヴェイル(Norfolk Island) |
現在の状況
- 多くの施設が博物館や観光地として一般公開されている。
- オーストラリアの植民地史を学ぶための教育施設として活用。
- ユネスコの保護のもと、修復・維持活動が続けられている。
アクセス
- 所在地:オーストラリア各地(タスマニア、シドニー、フリーマントルなど)
- 最寄り都市:シドニー、ホバート、パースなど
- 入場料:施設によって異なる(10~30オーストラリアドル程度)
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カスケード女性工場(Cascades Female Factory, タスマニア) |
オーストラリアの囚人遺跡群は、イギリスの植民地政策の一環としての流刑制度と、それによるオーストラリアの発展を象徴する世界遺産 です。過酷な囚人生活の実態を伝えると同時に、現代のオーストラリア社会の形成に影響を与えた歴史的重要性を持つ遺跡群です。
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