2025年3月5日水曜日

世界遺産:カザンラクのトラキア人の墳墓(Thracian Tomb of Kazanlak)ー ブルガリア

 


カザンラクのトラキア人の墳墓(Thracian Tomb of Kazanlak, Тракийска гробница край Казанлък)は、ブルガリア中部のカザンラクにある紀元前4世紀末~3世紀初頭のトラキア人の墳墓 で、特に美しい壁画で知られています。トラキア文化とギリシャ美術が融合した貴重な例 として評価され、1979年にユネスコ世界遺産(文化遺産) に登録されました。


歴史

  • 紀元前4世紀末~3世紀初頭:トラキア王国の有力者(王族または貴族)の墓として築かれる。
  • 1944年:農作業中に偶然発見される。
  • 1979年:ユネスコ世界遺産に登録。
  • 現在:保存のため、オリジナルの墳墓は非公開とされ、レプリカが公開されている。

特徴

  1. ドーム型の墳墓構造

    • 高さ約3.5m、長さ約6mの小規模な墳墓。
    • 石造りの円形ドームの墓室と前室、通路(dromos)がある。
    • 当時のトラキア文化の埋葬様式を示す貴重な例。
  2. 見事なフレスコ画(壁画)

    • 墓室の壁には、トラキア貴族と妻の葬送の宴の場面が描かれている。
    • 馬や戦士、家臣、楽器を演奏する女性など、生活の様子を伝えるリアルな表現が特徴。
    • ギリシャ文化の影響を受けた技法で描かれ、ヨーロッパ最古級の保存状態の良い壁画 の一つ。
  3. トラキア文化とギリシャ美術の融合

    • トラキア人は古代ギリシャと交流があり、この墓にもギリシャ美術の影響が見られる。
    • 装飾、衣装、儀式の様子などから、当時の貴族の社会的地位や文化を知る手がかりとなる。

現在の状況

  • オリジナルの墳墓は劣化を防ぐために非公開。
  • 近くにレプリカが建設され、観光客が見学可能。
  • カザンラク周辺には、他にも多数のトラキア人の墳墓があり、考古学的調査が続いている。

アクセス

  • 所在地:ブルガリア・カザンラク
  • 最寄り都市:ソフィア(車で約3時間)、プロヴディフ(車で約2時間)
  • 入場料:レプリカの見学は数ユーロ程度

まとめ

カザンラクのトラキア人の墳墓は、トラキア王国の貴族の埋葬と文化を伝える貴重な遺産 であり、特に美しい壁画がヨーロッパ最古級の芸術として高く評価されています。現在はレプリカが公開されており、トラキア文明の歴史に触れることができる重要な世界遺産です。


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