2025年3月17日月曜日

世界遺産:ヴォルタ州、グレーター・アクラ州、セントラル州、ウェスタン州の城塞群(Forts and Castles, Volta, Greater Accra, Central and Western Regions)ー ガーナ

エルミナ城(Elmina Castle)

ヴォルタ州、グレーター・アクラ州、セントラル州、ウェスタン州の城塞群(Forts and Castles, Volta, Greater Accra, Central and Western Regions)は、ガーナの沿岸部に点在するヨーロッパ諸国が築いた城塞や要塞群の遺産 です。これらの要塞は、15世紀から18世紀にかけて、ポルトガル、オランダ、デンマーク、スウェーデン、イギリスなどの植民地勢力によって建設され、奴隷貿易の拠点や交易拠点として使用されました。 1979年にユネスコ世界遺産(文化遺産) に登録されました。


歴史

  • 15世紀(1482年):ポルトガルがエルミナ城(Elmina Castle)を建設し、アフリカ西海岸での交易拠点を確立。
  • 16~17世紀:オランダ、デンマーク、スウェーデン、イギリスが次々と要塞を建設し、金や奴隷の交易を拡大。
  • 18~19世紀:奴隷貿易の廃止が進むが、要塞は引き続き軍事・行政の拠点として利用される。
  • 20世紀以降:独立後のガーナ政府が要塞群の保存と観光資源化を進める。
  • 1979年:ユネスコ世界遺産に登録。

ケープ・コースト城(Cape Coast Castle)

主要な城塞・要塞

  1. エルミナ城(Elmina Castle)

    • アフリカ最古のヨーロッパ建築物(1482年、ポルトガル建設)。
    • 奴隷貿易の中心地であり、地下には奴隷収容所があった。
    • 現在は博物館として公開。
  2. ケープ・コースト城(Cape Coast Castle)

    • オランダ(1653年)、その後イギリスが占拠し、最大級の奴隷貿易拠点となる。
    • 「帰らずの扉(Door of No Return)」として知られる出口から奴隷が船に積まれた。
  3. クリスチャンスボーグ城(Christiansborg Castle, アクラ)

    • デンマーク(1661年建設)で、後にイギリスの植民地政府が使用。
    • 現在はガーナ政府の所有。
  4. フォート・セント・ジャゴ(Fort St. Jago)

    • エルミナ城の近くにあり、港を見下ろす防衛拠点として機能した。
  5. ウシェル要塞(Ussher Fort, アクラ)

    • 1650年にオランダが建設し、後にイギリスが占拠。
    • 現在は博物館として活用されている。
  6. ジェームズ要塞(James Fort, アクラ)

    • 1673年にイギリスが建設。
    • 奴隷貿易に利用されたが、現在は廃墟に近い状態。

クリスチャンスボーグ城(Christiansborg Castle, アクラ)

特徴

  1. ヨーロッパとアフリカの文化の融合

    • ヨーロッパの軍事建築技術と現地の材料・労働力を用いた建築が見られる。
  2. 奴隷貿易の歴史を伝える遺産

    • 地下牢や「帰らずの扉」など、奴隷貿易の悲惨な歴史を今に伝える。
    • アフリカ系アメリカ人にとってルーツをたどる重要な場所。
  3. 現在も政府や博物館として活用

    • エルミナ城やケープ・コースト城は博物館として公開され、観光名所となっている。
    • クリスチャンスボーグ城は政府施設として使用される。

ジェームズ要塞(James Fort, アクラ)
現在の状況

  • 保存状態の良い要塞は観光地として整備されているが、一部は老朽化が進み修復が必要。
  • 奴隷貿易の歴史を学ぶためのツアーや博物館展示が充実。
  • ガーナ政府やユネスコの支援のもと、保存・修復作業が続けられている。

アクセス

  • 所在地:ガーナ(アクラ、ケープ・コースト、エルミナなど)
  • 最寄り空港:コトカ国際空港(アクラ)
  • 入場料:各要塞によって異なるが、数ドル程度(博物館は有料)。

フォート・セント・ジャゴ(Fort St. Jago)

まとめ

ヴォルタ州、グレーター・アクラ州、セントラル州、ウェスタン州の城塞群は、ヨーロッパの植民地支配とアフリカの奴隷貿易の歴史を象徴する世界遺産であり、建築的・歴史的に重要な遺産 です。特に、エルミナ城やケープ・コースト城は、奴隷貿易の悲惨な歴史を学ぶための重要な場所として、世界中から訪れる人々に深い影響を与えています。


0 件のコメント: