2025年3月5日水曜日

世界遺産:マダラの騎士像(Madara Rider)ー ブルガリア

マダラの騎士像(Madara Rider)

マダラの騎士像(Madara Rider, Мадарски конник)は、ブルガリア北東部のマダラ高原の断崖に刻まれた、中世初期の巨大なレリーフ です。8世紀初頭に第一次ブルガリア帝国 によって制作されたと考えられており、東ヨーロッパで唯一のこの種の石彫刻として貴重な存在です。1979年にユネスコ世界遺産(文化遺産) に登録されました。

歴史

  • 8世紀初頭:第一次ブルガリア帝国のハーン(君主)・テルヴェルの時代に刻まれたとされる。
  • 11~14世紀:ブルガリア第二帝国時代にも重要な歴史的・宗教的シンボルとして維持される。
  • 19~20世紀:ブルガリアの民族復興運動の中で再評価され、国の象徴となる。
  • 1979年:ユネスコ世界遺産に登録。

特徴

  1. ヨーロッパ唯一の断崖彫刻の騎士像

    • 高さ約23mの断崖に、幅3m、高さ2.5mのレリーフが刻まれている。
    • 騎士が馬に乗り、左手に盾を持ち、右手で槍を構えている姿 が描かれている。
    • 騎士の後ろには犬が追従し、槍で倒されたライオンが横たわる 様子が表現されている。
  2. 第一次ブルガリア帝国の象徴

    • 騎士はブルガリアの初代君主ハーン・テルヴェル を象徴していると考えられている。
    • 近くには古代ギリシャ語で記された碑文 があり、ハーン・テルヴェルの業績を讃えている。
    • ブルガリア国家の誕生と独立を示す歴史的記念碑 としての役割を持つ。
  3. ブルガリアの国のシンボル

    • ブルガリアのコインや公式文書にもこの騎士像が使用されている。
    • 国家の独立と誇りを象徴する文化遺産 として広く認識されている。
  4. 自然環境と保存の課題

    • 風化や侵食によるダメージが進んでおり、保存のための対策が進められている。
    • 近年は3Dスキャン技術を用いたデジタル保存プロジェクトも進行中。

現在の状況

  • 観光地として整備され、多くの歴史愛好家や旅行者が訪れる。
  • ブルガリア政府とユネスコが協力し、彫刻の保存活動を行っている。
  • 近くには博物館があり、歴史的背景を学ぶことができる。

アクセス

  • 所在地:ブルガリア・シュメン州マダラ村
  • 最寄り都市:シュメン(Shumen)から車で約20分
  • 入場料:数ユーロ程度

まとめ

マダラの騎士像は、ブルガリアの国家の象徴であり、ヨーロッパ唯一の騎馬戦士の断崖彫刻として極めて貴重な世界遺産 です。ブルガリアの誇りと独立の象徴として今日も大切に保存され、歴史と文化を伝え続けています。


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